ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

刑事訴訟法メモ2、起訴されてから判決まで

2008-12-31 13:20:32 | Public
起訴されてから判決が下るまで

①被告人に、弁護人が必要な場合は弁護人を付ける

 弁護人が必要なのは、一定以上の重い容疑の場合。(必要的弁護事件)
死刑、無期懲役はもちろん、上限が懲役または禁固3年以上の刑となっている事件。
それより軽いものは弁護人なしでも裁判できる

②弁護人の選定<私選と国選>

・私選が原則だが、被告人が貧困、未成年、老齢のときには国選で弁護人をつけることができる
 (被告人国選弁護)
・①で示した、「軽いもの」に入る事件で、かつ国選弁護人をつけたいときは、「資力申告書」を
 提出しなくてはいけない

※被疑者国際弁護
 逮捕されて起訴するまでの間、つまり容疑者が「被疑者」の段階でも、(私選はもちろん)
一定以上の重い容疑の場合には国選弁護人をつけることができる(2006年から)。
そのラインは、「死刑、無期、懲役または禁固が最短で1年」。
 このラインが2009年、裁判員制度導入時から「死刑、無期、懲役または禁固が上限3年以上」になる。
=必要的弁護事件の場合、すべてに被疑者段階から国選弁護人がつけられる
これにより、どんどんと「被疑者の権利主張」は強くなっていくだろう。
たとえば、勾留理由開示請求とか?否認事件も増えそう。
マスコミにとっては、「容疑者の言い分」により耳を傾けざるをえなくなってくるだろうと
思われます、いいのか悪いのかは別として、ね。

③公判準備手続き

④冒頭手続き
 ・人定質問(裁判官が被告人に、名前、住所、職業などを尋ねる)
 ・起訴状の朗読(by検察官)
 ・黙秘権の告知(by裁判官)
 ・罪状認否(by裁判官、被告人が「認めます」「起訴状のこことここは違います」などと述べる)

⑤証拠調べ手続き
 ・検察官が冒頭陳述・・・検察側が、証拠によってどんな事実を明らかにしようとしているのかを
             具体的に述べる
 ・弁護人の冒頭陳述(ない場合も)
 ・証拠調べの請求・・・検察が、供述書や、犯行時の写真など、捜査資料の一部などを、
  (by検察官)    明らかにしようとしている事実にとって証拠となるものを「証拠としてください」
            と裁判所に申請、裁判所が採用したり、却下したりする

  (by弁護人)
 ・証拠調べ・・・「証拠方法」と「証拠資料」がある。証拠方法には、物証と人証があり、それぞれ
         押収した物とか、証人や被告人の尋問によって得る証拠。
         証拠資料には、供述証拠、非供述証拠(指紋とか)がある

⑥最終手続き
 ・論告・・・検察が、主張や証拠調べの結果をふまえ、適応すべき法律などを述べながら
       「・・・相当に厳重な処罰が必要と考えます」などと言う
 ・求刑・・・「よって被告人を、懲役何年に処するのが相当です」などと、量刑を述べる
 ・最終弁論・・・弁護側も、同様に弁護側が考える事実、諸事情(情状)をのべ、
       減刑や、ときには無罪を訴える
 ・被告人の最終陳述・・・言いたいことがあれば、被告人当人も最後に話す
 (これらが終わることを「結審する」という)

⑦判決

 ところで昨日の毎日新聞の一面(三重で)。
 第一印象は、刑務所の管理費削減?と思いましたが、賛否はよくわかりません。
 とりあえず、拘置所、刑務所はあふれんばかりの満杯状態という実情はあるみたいです。

刑法改正:懲役・禁固に新制度 社会で更正
 犯罪者を刑務所内でなく社会の中で更生させるため、法務省は、懲役・禁固刑の一部を一般社会での更生期間とする新たな制度「刑の一部の執行猶予制度」を導入する方針を固めた。現在の実刑と執行猶予の中間に位置づける。来年に法相の諮問機関の法制審議会で結論を出し、早ければ2010年にも刑法改正案を国会に提出する。【石川淳一】

 同省などによると、現在の執行猶予は、刑の執行を一定期間猶予し、期間内に新たな犯罪行為を起こさなければ、実刑を科さない。これに対し、新制度は、実刑と執行猶予を組み合わせる形で導入する。懲役または禁固の実刑を科した後に、残りの刑を猶予して、その猶予期間中は、保護観察所で処遇プログラムを受けるなどして社会で更生を図る。プログラムの内容は、再犯防止に向けた座学などが検討されている。刑務所などで一定期間の改善更生を図った上でその効果を社会でも持続させる狙いがある。

 判決言い渡しは、懲役・禁固期間と保護観察下の猶予期間を合わせた量刑になる見通し。刑務所に入る期間は減るが、必ず刑務所に入ることになる。現在の執行猶予は別に残す方針。

 この新制度の対象者は、主にこれまで刑務所に入ったことのない人を想定。道路交通法違反や覚せい剤取締法違反を重ねて初めて実刑となったり、執行猶予中の再犯で執行猶予を取り消された人のほか、実刑と執行猶予の境界線上の罪を犯した人も検討されている。

 刑務所に多くの実刑確定者が入る過剰収容対策を話し合ってきた法制審が、「刑務所での処遇と社会生活がかけ離れている」と指摘したことから、法務省は、刑務所と社会生活との中間的な処遇方法を検討していた。

 一方、法制審はこの制度とは別に街頭清掃や介護などのボランティア作業を保護観察に取り入れる「社会奉仕命令」を導入することも検討している。

 ◇ことば 懲役と禁固
 いずれも刑務所に拘置し自由をはく奪するため自由刑と呼ばれる。懲役(刑法12条)は労役に服することを義務づけられるが、禁固(同13条)には労役がない。禁固の適用は交通事故などの過失犯などに限定。いずれも有期なら1月以上20年以下(複数の罪を併科されると最長30年)で無期もある。

カフカ原作『審判』

2008-12-31 11:37:57 | Movie

 「法」という開かれた門の前に番人が立っていて、男はその前で、番人に尋ねる。
「入れてくれないか」
「今はだめだ、後でならいいが」

 その門の前で待つうちに、男はすっかり老いてしまう。そして死ぬ間際に知る。
その門は男のためだけにあったのだということを。

 映画の導入で紹介される話。
原作の小説を書いたカフカが何を言わんとしていたのか、それを
理解したかは大いに疑問だが、彼がこのストーリーで言っていたことは
「人が人を裁くことのばかばかしさ」だろうか。

 ある日突然、銀行員の男、ジョゼフは逮捕され、審判を受けることになる。
検察官は罪名を言わず、なぶり殺しにされるようにジョゼフは弁護士や傍聴人、裁判官や
裁判官だけを書くという肖像画家の元を訪れる。
しかし、勤務先である銀行--常にタイプライターをたたく音しか聞こえない、
広大なフロアに机と人が並べられた場所--を含めて、すべての場所が気づけばなぜか、
裁判所と隣接している。そして・・・人々も、裁判所とつながっている。
「この世界から抜け出すことが、今はもう無意味に思える」
そんな境地に陥って、ジョゼフは最後を迎える。

 そのラストシーンが強烈に印象的だ。
2人の男に両腕をつかまれ、荒廃した土地の穴に陥れられる。
そこでジョゼフは、何も言われないのに服を脱ぎ始める、、これは最大の降伏行為だと思う。
それを上から見ていた2人の男は下に降りてきて、ジョゼフを寝かせ、その目上で
ナイフを交互に渡しあう・・・どっちが、どうやるか。どっちの男が取ったとしても、
ジョゼフはそのナイフで殺される・・・弁護人が話そうが、検察官が話そうか、
結論は決まっている、と言いたいかのように。
そのあげく何もせずに穴から出て行ってしまった男らにジョゼフは、
ついに「俺を殺せ、早く刺せ!」と自ら叫んでしまうのだ。
最後には、2人の男に放り投げられたダイナマイトで死ぬ。

罪を発見し、立証し、裁く。
そんなことは、不可能だし無意味だし、それを行うべき組織はあまりにも
乾燥しきっていて、ベルトコンベアのように結果を用意する。

そんなことを表していたのか、、な、自信はないが。

・・・

話はそれるが、最近「刑罰は何のためにあるのか」と考える。
罪を償わせ、被害者感情をなだめるため?
「罪を犯せばこんなひどい目に遭う、だからするなよ」という見せしめ?(再発防止?)
犯罪者当人を更正させるため?

つまり、「応酬刑」という性格なのか「教育刑」ということなのか。

応酬刑なら、死刑は最もということになるし、12月から始まった「被害者参加制度」は肯定できる。
「あなたの罪はこんなにひどいんだ、だからもっともっと重罰を与えるべきだ」

教育刑なら、死刑は論理的におかしい。死なせては本人の更正の余地はない。

「どっちの要素もある、でも本来、応酬刑と考えるべきだろうね。
 法律によって罰するというのは、復讐の連鎖が起こらないように、
 公的機関が被害者に変わって罰するというところから出来たものだろうし。」

というある警察官。そうか、なるほど。終身刑という刑だって、応酬刑を前提としないと通らない。

そんなわけで、仕事に戻ります。思考を途中放棄。

2008年12月31日

2008-12-31 10:56:32 | Private・雑感
仕事がないわけではないが、あるわけでもない今日、やりたいこと

・刑訴法のまとめ2を書く
・映画の感想

・近鉄で両親に何かプレゼントでも
・買いたかった本を買っておく
・お金をおろす
・新幹線の予約
・できればめがねも買いたいなあ

・積み上げた新聞の整理、スクラップ
・明日and新年の仕事の確認、準備

・借りてある映画を1本以上観る
・社内配布の本を再読、ほかの本も読みたい

今だいたい11時、あと12時間以上はあるので、こなせるでしょう、
新聞整理が大変かも。
それにしても大雪予報だった今日、雪が降ってなくてよかった。
朝、どんだけほっとしたことか、、

刑事訴訟法メモ1、犯罪発生から起訴まで

2008-12-31 00:01:55 | Public
犯罪が起こり、逮捕され、起訴されるまで
(複数の本を総合しているので鵜呑みにしないように、極めて私的メモ)

①捜査の始まり<捜査の端緒>

・通報
・職務質問
・告訴・・・被害者、またはその法定代理人や親族(告訴権者)が捜査機関に告訴状を出し、
      犯罪事実を申告
・告発・・・第三者が、犯罪事実を申告
・検視

②捜査
→強制捜査が必要な場合、(たとえば以下の場合)は「強制捜査」
 犯人の逃走の可能性がある場合は「逮捕」、
 証拠隠滅のおそれがある場合には(その物を)「差し押さえ」、
 差し押さえできない物の状態などを、強制的に調べる「検証」
 =裁判所の令状が必要

→その可能性が低い場合には「任意捜査」、
 ・任意同行 (→取り調べし、「供述調書」を作成、被疑者が確認、捺印すれば裁判で証拠になる)
  (拒否できる)
 ・実況見分・・・場所や物について調べる (→「実況見分調書」作成、裁判で証拠になる)
 ・鑑定の嘱託       
 =令状は不要、捜査を尽くした後は「書類送検or身柄送検」、
  組織犯罪とかは任意捜査の時が多いですね


③強制捜査をするために必要な手順
・逮捕には、その要件を満たさなければいけない
 ・犯人の逃走、証拠隠滅の可能性があること
・3種類の逮捕
 1)通常逮捕・・・これが原則、裁判所に逮捕令状を請求、それに基づき執行、
          要件として、「理由」(被疑者が罪を犯したことを疑うに足る理由)と
          「必要性」(逃走、証拠隠滅のおそれ)がなくてはいけない
  (厳密には、逮捕状をもらっても、その後逮捕するかしないかは警察権限らしい)

 2)現行犯逮捕・・・その機会を逃すといつ逮捕できるかわからない場合、誰でも、いつでも
           被疑者を逮捕できる、令状主義の例外

 3)緊急逮捕・・・以下の2つの要件を満たすとき
   ・死刑または無期、長期(刑の上限)3年以上の懲役・禁固にあたる罪を犯したと疑うに足る十分な理由があり、
   ・逮捕状を裁判所に求めることが出来ないとき

④逮捕後
 ・「司法警察官」である巡査部長以上が、犯罪事実の要旨と弁護人が選定できる旨を被疑者に伝える
   ↓
 ・留置の必要があるか確認し(もしなければ釈放)、留置
   ↓
 ・48時間以内に書類(供述調書とか)、証拠を検察官に「送検」
   ↓
 ・検察は「拘置」して調べが必要か24時間以内に判断、
  拘置が必要な場合は裁判所に「拘置請求」(裁判官が被疑者に会い、必要性を判断)
  →認められれば10日間拘置、調べる
  10日後、まだ必要ならもう一度請求し、プラス10日間拘置できる
   ↓
 ・検察が、起訴、不起訴、起訴猶予のいずれかに判断(つまり逮捕日からまる23日目までには)
  起訴・・・犯罪の嫌疑が十分のとき (略式起訴となるときも)
  不起訴・・・事件が罪にならなかったり、犯罪が証明されなかったとき
  起訴猶予・・・阿犯罪の嫌疑が十分で基礎条件が備わっていても、
         軽微な犯罪で容疑者が反省していて、被害者も納得しているときとか
    
⑤起訴されたら裁判or略式命令
 ・略式命令・・・50万円以下の罰金を科しうる罪で、被疑者に異議がなければ、公判をせずに
         簡易裁判所が命令する、略式にするかどうかは検察官が決める
         (「略式命令請求書」を出せば、略式命令の手続きに入る)
 ・公判 (こっから「被疑者」は「被告人」となる)