亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

9月4日の指標でサプライズが2点、米国(ドル)優位を表す中身

2018年09月05日 22時50分27秒 | 金融市場の話題

筆頭は、米8月のISM製造業景況指数。市場予想は前月の58.1から57.7への低下となっていたが、結果は2004年5月以来14年ぶりの高水準となる61.3への上昇となった。米国の足元の景気循環の拡大期は2009年7月以降なので、つまり今回の景気拡大期の中での最高値となる。予想外の大幅上昇で、まさにポジティブ・サプライズ。新規受注が大幅上昇し、全体を押し上げた(前月の60.2 ⇒65.1)。50台後半が続くだけ、利上げの必要性が言われた時代もあったが、その習いからすると60超は過熱を表す水準といえる。しかし、それにしては、4日の米国株は、このデータが発表された後に下げ幅を縮小する程度で、S&P500種平均もナスダックも、数日マイナス圏での推移で終わった。反応が大きかったといえるのは米債で、利上げの加速を意識させる結果から、軒並み売られ利回りは上昇。10年債も2.9%まで上昇。

それでも、市場の反応という面では、サプライズは起きていないわけで、大型減税の効果などから良くて当たり前のような、慣れが出ているのか、織り込み済みか。ISMは米国経済の過大評価が目立つとの指摘も見られた。

もうひとつは、南アフリカの4-6月期GDPが(前期比年率)マイナス0.7%となり、1-3月期のマイナス2.6%と合わせて2四半期連続のマイナス成長となったこと。2期連続のマイナス成長は、リッセッション(景気後退)との定義がある。4-6月期の市場予想は、プラス0.4%となっていたので、予想外の景気後退入りということになる。景気後退入りは、2009年以来のこと。ただし、こちらは農業生産の低下、つまり不作が絡んでいるとされる。構造問題よりも、天候要因という側面があり、深刻度は割り引くべきか。ただし、これを受け、南アランドは4日、3.2%の急落状態となり8月中旬の安値に接近。プラチナの売り要因となった。

サプライズとはいえ、米国優位を表す内容。

インドネシア・ルピアやインド・ルピーも下げ、リスクオフ気運の中で、資金の流れは再びドルに向かう展開に。前日3日には、8月のトルコの消費者物価指数(CPI)が発表され前年同月比17.9%の上昇とされ、通貨安からインフレ傾向が一気に高まっていることが判明。トルコ中銀は9月13日に金融政策決定会合を控えており、通貨防衛を含め利上げが焦点となる。同国のエルドアン大統領が、かねてより中銀の政策(利上げ意向)に牽制発言を繰り返しており、中銀の独立性という観点からも注目されそうだ。

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