亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

逆風の中で1900ドル中盤維持のゴールド

2023年09月25日 20時08分06秒 | 金市場

米長期金利の上昇も、先週末22日は一服となった。

S&Pグローバルがこの日発表した9月の米PMI(購買担当者景気指数)速報値を受け、米景気の減速が意識された。急ピッチで金利が上昇した後でもあり、週末を控え債券市場では終盤に買いが先行し利回り低下につながった。

金市場では、もともと前日の大幅安に対する自律的な動きもありNY時間外のアジア、ロンドンと買いが先行していたが、指標を受けNYの時間帯も買い優勢の流れが続いた。NYコメックスの通常取引は前日比6.00ドル高の1945.60ドルで終了した。

 

9月の米PMI速報値では総合指数は8月の50.2から50.1にわずかに低下。ただし7カ月ぶりの低水準となった。経済の中心を占めているサービス業が50.2に低下し、市場予想(50.7、ダウ・ジョーンズ調べ)を下回った。製造業は48.9に改善し市場予想(48.2)を上回ったものの、好不況の境目となる50を下回る水準が続いている。

この結果を受け、米債市場は利回り上昇が一服となった。

NY時間外のアジアの時間帯には、前日までの地合いが継続し一時4.511%と約16年ぶりの水準を更新していた。

さらにPMI速報値で注目されたのは米国の比較優位性だった。

同じS&Pグローバルが発表した9月のユーロ圏のHCOB総合PMI速報値は47.1と33カ月ぶり低水準だった8月の46.7からは上昇した。ただし好不況の分かれ目となる50を下回っている。 7~9月期のユーロ圏経済はマイナス成長となる可能性が高く、近い将来のプラス成長は見込めない状況が続く。

 

一方で、米経済はここまでのところFRBの積極的な利上げで景気後退が引き起こされるとの予想を覆し続けている。

7~9月期に至ってはアトランタ連銀のGDP予測「GDP・Now」は現時点で前期比年率4.9%もの成長を示している。 この見通しの違いが(金利差もあって)為替市場ではドルの優位性につながっている。

22日のドル指数(DXY)は一時105.782まで上昇したのは先ほど触れたように米長期金利の高水準更新に伴ったものだが、その後は落ち着き105.583と前日比0.2%高で終了した。週足でも上昇となり、これで10週連続の上昇となるが、これは約10年ぶりのこと。

金市場は逆風の中で1900ドル台半ばでの滞留が続いている。

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