亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

忍耐も限界、NY金1900ドル割れ6カ月ぶり安値に

2023年09月28日 20時47分16秒 | 金市場

9月27日のNY金は3営業日続落となった。この日も16年ぶりの水準をさらに切り上げた米長期金利と、他の主要国との金利差拡大を手掛かりとしたドル高に促される形で金市場では売りが広がった。

ここまで逆風の環境に耐える形で1900ドル大台を維持してきたNY金だったが、心理的節目の水準を下回ることになった。

NYコメックスの通常取引は、8月に付けていた直近の安値(1913.60ドル)を下回るとテクニカル要因からもさらに売りを呼び込んだ。1900ドル割れでさらに10ドルほど水準を切り下げ、そのまま終了となった。前日比28.90ドル安の1890.90ドルで終了。3月上旬以来約6カ月ぶりの安値となる。

1日の下げ率1.9%は4月14日以来の大きさとなった。その後の時間外取引でも目立った買いは入らず、横ばいで推移し、そのまま1893.20ドルでこの日の取引を終了した。

 

米長期金利の指標10年債利回りは、水準をさらに切り上げ一時4.646%と16年ぶりの水準を更新。この1週間ほどは5.1%前後で上昇が止まっている2年債との利回り格差(逆イールド、2年債>10年債)は縮小を続けており、0.526%(52.6bp)まで縮小。5月以来最も狭い格差(スプレッド)となった。

米連邦準備理事会(FRB)による利上げサイクルの終了が近づいていることを市場が織り込んでいることを示唆するとされる。

 

一方、ドル指数(DXY)もさらに上値を切り上げた。

27日はNY時間外のアジアからNY時間を通して106ポイント台を維持し、一時106.839と昨年11月30日以来の水準に。上昇ピッチの速さから、市場には警戒感も膨らんでいる。

長期金利にしてもドルにしても、週末、月末、四半期末が重なる今週は、米国議会での次年度予算審議のこう着もあり、単に流れの方向に資金を振り向ける投機筋(CTA)の存在を感じさせるモメンタム相場と化している可能性がありそうだ。

 

この日も前日に続きミネアポリ地区連銀のカシュカリ総裁の発言が注目された。 CNBCの番組で、金融政策が大幅に引き締められる中でも、住宅部門と自動車部門が底堅く推移し、個人消費が力強く、経済活動全体が依然として力強く伸びているとしたうえで、「われわれが考えているほど金融政策は制約的でない可能性がある」とした。インフレを迅速に引き下げられるかどうか、現在の経済情勢からは不明確だとし、今後の金融政策はデータ次第になると指摘。

前日同様に年内最後の利上げが行われた後、来年は金利は据え置かれるとの見通しを示した。 本日はパウエル議長の討論会参加が予定されている。

 

時間は日本時間の明日早朝に予定されており、28日のNY市場が終了した時間帯に発言内容が伝えられるとみられる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 逃避買いの矛先はゴールドで... | トップ | NY金モメンタム系の売りで6... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事