NY金は週明け10月2日も続落でこれで6営業日続落の下げとなった。
前週末に騰勢一服かと思われた米長期金利が、週明けも水準をさらに切り上げたことで、為替市場では引き続きドルも上昇。この米金利とドルの上昇という組み合わせに、ファンドの売りが続いた。
前週末比18.90ドル安の1847.20ドルで終了したが、ダラダラ下げる展開は自律反発もなく、よろしくない。結局3月9日以来約7カ月ぶりの安値となった。
トレンドフォロアーと呼ばれるCTAなど目先筋のファンドは、節目割れでセンチメントの悪化に乗じる形で、売りを重ねているとみられる。下げが続いたことで売り方は、いわゆる回転が利いており益出ししながら新規売りも続けるということだろう。テクニカル的には50日移動平均線と200日線がデッドクロスになったこを手掛かりに売り込んでいるファンドの存在が指摘されていた。
前回は昨年7月に出現し、その後4カ月にわたりNY金は下値を切り下げた経緯がある。11月初めまで下げ1610ドル台で底入れした。
今回はそこまでの下げには至らないと思う。
大きく底割れする際には、ETFを含め目立って資金流出が起きるが、そこまでには至っていない。現時点で、ということではあるが。
さらに、こうしたテクニカル指標など無関係の市場参加者も金市場には多い。それが昨年来さらに買いが活発化した新興国中央銀行であり、アジアを中心に世界的に広がった個人の草の根的な現物買いといえる。ただ足元で価格形成の主導権を握っているのは、目先筋のファンドといえる。
この日長期金利の指標となる米10年債利回りは、一時4.707%と2007年10月以来16年ぶりの高水準をさらに更新(価格は下落)。4.687%で終了した。
米国議会で2024会計年度の暫定予算がかろうじて9月30日深夜に可決され、米政府機関の閉鎖が回避されたが、この件が債券市場の売り手掛かりになったとされる。ロイターなど米通信社が伝えるのは、閉鎖が回避され安全資産としての国債の需要が落ちるとの見方で売られたとするものがあった。一方で、おなじく閉鎖が回避されたことで、主要経済指標の発表がスケジュール通り行われることで、FRBが追加利上げに動きやすくなるため売られたとするものもある。
いずれも後付けの理由のような印象が強い。
この日発表された、9月のISM(サプライマネジメント協会)製造業景況感指数が49.0と前月(47.6)から改善した。市場予想の48.0を上回り、好不況の境目とされる50に近づいた。細目の指数で「雇用」や「新規受注」などが上昇したことから、市場では製造業指数が底入れしたとの見方につながっている。月初に発表される重要指標であり、10年債利回りを押し上げたのは、この結果と捉えるのが妥当だろう。金融引き締めが続く環境でも米景気がなお底堅いとの見方が改めて確認する内容と言えることによる。
その他、連日伝えられるFRB高官のタカ派発言も利回りを押し上げ、ドル(DXY)を押し上げた。ちなみにドル指数(DXY)はこの日一時107.034と107ポイントを超え106.904で終了した。ユーロと日本円、英ポンドの対ドルでの弱さがDXYを押し上げて金売りに転化されている。DXYは終値で昨年11月22日以来約10カ月ぶりの高値となった。
本日、ある記者氏と話したのは、本日までのデータが含まれる週末のCFTC(米商品先物取引委員会)のデータにてファンドのロングポジションが減って、ネットショートになっているか否かということだった。