本日は5月の米新築住宅販売件数とミシガン大学消費者信頼感指数の確報の発表が予定されている。新築住宅販売は4月の59.1万件から若干減少という予想だが、このところ住宅関連指標が落ちているのでどうなるか。
このところ住宅ローン金利の上昇の中でローン申請件数も落ちていたが、今週伝えられたのは増加したというニュースだった。どうやらさらに借入金利が上がる見通しにつき、駆け込み的な申し込みが出ているという話があった。ミシガン大調査の速報値で、5年超の期待インフレ率が上向いていてFRBを利上げ幅拡大に向かわせたが、まさにインフレ期待の高まりを表す別の現象ということだろう。こうしたインフレ見通しの上昇は、日本国内の消費者調査でも表れているというデータも出ている。
23日は、欧州から米国とPMI(購買担当者景気指数)6月速報値が発表され、結果はどこも悪かった。先週は米連邦準備理事会(FRB)を含む主要な中央銀行が積極的な利上げを決め、世界の景気減速懸念が強く意識させたが、ここにきて原油が売られ、銅が21年2月以来16か月ぶりの安値に落ちているが、景気見通しの悪化を映した下げということで、債券市場に波及し長期債利回りは低下。この利回り低下を好感して、高PERの成長期待株が反発し、株価はナスダックを中心に一息つくという流れが生まれている。
本日の午後に書籍用の原稿を書くのにいろいろデータを確認していて思ったのは、たしかに金利水準は上がったもののカネ余り(過剰流動)環境に変化はないということ。実際にFRBは6月1日からQT(量的縮小策)と呼ばれる保有債券を減らす作業に着手しているが、実は22日時点で月初から資産は逆に193億ドル(約26兆円)増えていたりする。償還分の乗り換えを止めることで、自然減少させることになっており、6月の目標値は475億ドルの減少となっているが、どうなるか。 いずれにしても過剰流動は続いており、量の点で締まってはいない。株がそこそこ戻ったりするわけだ。しかし、これがベアトラップということで、戻りに乗っかってその後ハシゴを外されたりということが下降トレンドの中では、まま起きることではある。そう考えると業績が重要ポイントになって来る。
そこで話は戻るが6月PMI速報は悪かった。総合指数が5カ月ぶりの低水準となる51.2に低下し分岐点の50が迫っている。企業活動が6月に大幅に減速したことを表す内容といえる。新規受注指数は47.7と2年弱ぶりに50ポイントを割れ、縮小に転じた。高インフレと消費者心理の悪化により全般的に需要が減ったことが背景としている。 6月も間もなく終わるが、この環境の中で7月の後半に発表が始まる4-6月期の企業業績が果たしてどうなるか。イベントの予定から値動きを想定し(実際に実行しなくても)売買のタイミングを計ることを個人的にはやるのだが、7月中旬以降は13日のCPI、15日の小売売上高が注目指標となる。翌週に利上げが予定されているECBの政策理事会、最終週がFOMCとなる。
金市場のちょっとした話題では、5月のスイスの通関統計の金輸入に、3トンばかりだがロシアからのものが入っていたというものがあった。中立国スイスだが、ウクライナ侵攻に対抗した西側の経済制裁にスイスも加わっていたはずだが、どうなんだ・・・ということらしい。金現物の市場というといまやロンドンが定番だが、かつてはチューリッヒ(Zurich)が旧ソ連の金の売却の窓口だった歴史的経緯がある。第2次大戦の際にも永世中立国で全方位外交のスイスは、ナチスドイツの金の売却窓口だった経緯がある。3トン程度では問題になることはないと思われるが、今後に注目ということか。