主要な経済指標の発表もなく目立ったニュースのない中で株式市場もさすがにここにきて一服気味。為替市場も方向感が出ない中で金市場も引き続き1265~1285ドルのレンジ内の値動きが続いている。足元の市場で注目度の高いのは米税制改革法案の行方だが、予想通り難航気味で年内の成立も不明で、事態の推移を見守っているというのが現状につき、方向感が出ないのも無理からぬところか。
政治がらみでは、英紙サンデータイムズが「週末にメイ英首相に対する不信任表明の書簡に40名の保守党議員が署名することに同意」と報じたことが、注目を集め英ポンドに動きがあった。これにより金が動いたかというと、アジアの午後に入って以降の買い優勢の流れは、この影響か?という程度。
広くは地政学要因に入る政治リスクだが、このところ沈静化している北朝鮮情勢はいつ何が飛び出すかわからぬ状況につき、少なくとも金市場では一定の緊張感は持続しているといえる。中東では、サウジアラビアのムハンマド王子が他の有力王子や現職閣僚を一斉に汚職で摘発。政争との見方が一般的だが、レバノンを巡りイランとの対立の可能性が指摘されており、緊張が高まれば欧米金融市場に動揺が走る可能性があり目が離せない状況といえる。ここちらは、現時点で金市場でもあまり関心は向けられていないようだ。
本日、おやっ!と目を引いたニュースは、ブルームバーグが報じていた、米国最大の年金基金、カルパース(CalPERS、カリフォルニア州職員退職年金基金)が、来年の資産のリ・バランシング(資産の比率変更)について、債券への投資を現在の19%からマックス44%まで引き上げることを検討中というものがあった。逆に株式は現在の50%から最小で34%に引き下げる可能性があるとされる。毎年、この時期に来年の運用方針を決めている。
カルパースといえば年金の中でも斬新性で知られるところ。いわゆるトレンド・セッター的な存在だけに、他の年金も真似をするところも出てきそうだ。連騰続きのNY株だが、さすがにそろそろ引こうという動きが出始めていることを意味する。