亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

長城を超え侵入する夷狄(いてき)の攻撃、長城越えの手引き役は他ならぬETF。

2009年10月13日 23時20分05秒 | 金融市場の話題
今夜もNY時間外でスルスルと金価格は史上最高値更新となった。逆にユーロ、円、ポンドなど6通貨で構成されるドル・インデックス(ドル指数)は先月9月22日以来となる76ポイント割れに。つまりドル安が、金への買いを集めている背景。3月以降、ドル・インデックスは14.3%の下落。金は12.5%の上昇とまさに逆相関。といっても、今夜は金だけでなく銀もプラチナもパラジウムも買われている。ただし、さきほどNYの取引時間帯に入ったところで、益出しの売りに見舞われ上げ幅を縮小している。

足下の相場はファンドの買い気が旺盛で、すでにモメンタム(勢い)相場の域に入っている。利益確定売りが出るものの、それに代わる新規買いが入ることで、いわゆる「回転が利いた」状態といえる。国内株式市場なら“手替わり”という表現もあるが、 投資家の間でキャッチボールが続いており、そのなかで循環的な上げ相場となる。モメンタム相場はいわばLet it go.の世界。いわゆる「相場のことは相場に聞け」というのが、この状態。

本日、都内丸の内の日本工業倶楽部大ホールにて、いまや秋の恒例となりつつあるGFMS(ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシィズ)社の金およびプラチナ・パラジウムの需給統計の分析のセミナーが開かれた。同社の需給データは貴金属業界のなかで最も信頼度の高いデータとされている。田中貴金属工業の主催、ワールド・ゴールド・カウンシルが協賛しているイベント「東京ゴールド・ウィーク」の一環として開かれているもの。

ゴールドのプレゼンを担当したポール・ウォーカーCEOは10年以上前から定期的に日本にきている日本通。あすの日経商品面などで報じられると思うが、本日のプレゼンの骨子は宝飾と投資という2本柱のうち宝飾需要が大幅に後退したいま、投資需要だけで相場を牽引するには限界がある。早晩、大きな相場の崩れがあるだろう。そして価格が折り合いをつける(下値メド)のは、実需である宝飾需要などが復活する価格水準となる、というもの。

30年以上にわたって金の需給データを集めて来た同社の経験側に照らし合わせれば、はやり実需は最重要項目であり、それは理解できる。

当方は、その実需の動向も、価格動向(すなわち相場)からの影響を受け変化すると捉えており、いま我々が見ている金市場自体がパラダイムシフトの結果もたらされたものと考えている。なにやら伝統的な需給の世界が、ポールソンなどヘッジファンドという長城を超えて侵入してきた夷狄(いてき)の攻撃に曝されているような感じだが、それも時代の流れか。この場合の夷狄(いてき)とは、「投資マネー」ということ。さながら長城に梯子をかけて侵入の手引きをしたのが、ETFということになる。

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