FRBは1月28~29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を予定しているが、来週からFRB関係者が政策関連の発言を自粛するブラックアウト期間入りする。
その期限入りが迫る16日、ウォラーFRB理事が経済チャンネルCNBCのインタビューで前日に発表された24年12月の米消費者物価指数(CPI)が「非常に良い内容だった」と指摘し、同様の内容が続けば今年前半に利下げが行われると考えるのが妥当だとした。
さらに想定外に踏み込んだ発言が続き、「インフレが抑制され、労働市場が堅調であれば、数カ月後に利下げ再開を検討できるだろう。3月の可能性を完全に排除することはできない」とした。
一昨日まで年後半に1回程度まで利下げ観測が後退していた市場だが、この発言に反応し朝方下げていた(利回りは上昇)10年債は、上昇に転じ利回りは一時4.589%と約2週間ぶりの水準まで低下。NY金は2750ドルの節目を上抜き一時2757.90ドルまで付けた。
ウォラー理事は、動向次第では今年最大3~4回の0.25%の利下げがあり得るとも述べている。有力理事の発言だけに、真っ先に債券市場が反応したのはうなづける。
NY金は終盤には売り優勢に転じ、結局前日比33.10ドル高の2750.90ドルで取引を終了。引き続き来週20日のトランプ米第2次政権スタートに際して打ち出すと見られる政策方針への懸念も、金市場に影を落としている。金(ゴールド)を含む貴金属に関税を掛けるという話が昨年12月初めから流れており、就任式が近づくにつれ売り方の買戻し(ショートカバー)なども入っているとされる。
トランプ次期大統領は選挙戦では関税引き上げや不法移民の強制送還など「Day 1(初日)」の実施を明言してきた経緯がある。実際に第1次政権スタート初日にも大統領令を複数発表している。実際には法的手続きを必要とするものも多く具体策は春になりそうだが、センセーショナルな政策発表に市場は警戒している。
足元で俄かに高まっているのがビットコインに関連する大統領令を出すというものもある。そうなるとビットコイン重視でドルはどうなるという問題が浮上しそうだ。電子空間の記号に価値を見出すのか、際限なく刷れるお札かゴールドか。 北朝鮮のハッキングなども頭に浮かぶが、マネーロンダリングはどうなる。太陽フレアの電磁波で消えないのか、などなどクリプト素人の考えが浮かぶ。
16日はトランプ次期米政権で財務長官に指名されているスコット・ベッセント氏に対する上院財政委員会の指名承認公聴会が開かれ、発言内容に注目が集まった。同氏はまず「我々はドルが世界の基軸通貨であり続けることを確かにしなければならない」と以前からの主張を繰り返した。