亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金2700ドル再突破、米雇用統計は無風で通過か

2025年01月10日 21時48分03秒 | 金市場

1月9日のNY金は3営業日続伸。カーター米元大統領の国葬でこの日の株式市場は休場。一方、債券市場は午後2時までの短縮取引となる中で、前日まで続いた米長期金利の急騰劇は一服状態となった。指標となる米10年債利回りは4.688%と前日の4.706%から低下した。前日は主要国にも波及した米債売り(利回り上昇)はいったん落ち着くことになった。

もっとも、金市場の方は、一連の金利上昇ドル高を無視する形で上昇を続けており、9日も前日比18.40ドル高の2690.80ドルで終了した。11月22日以来1カ月半ぶりの高値となる。

 

具体的な買い手掛かりが見当たらない中で、米金融政策やトランプ次期米政権の政策の不透明感が、相対的に安全資産としてのゴールドの買いにつながっているとされる。

確かにそれは否定できないが、中華圏では今月末(1月29日)の春節が近づく中で中国を中心に現物の需要が高まる時間帯に入っていることも背景にありそうだ。 実際に中国国内価格は昨年末からロンドン価格に対しプレミアムで推移している。

思い出されるのは昨年の動きだ。昨年2月から3月にかけて国際価格が上昇した際に、やはり具体的な買い手掛かりがなく、欧米勢にも目立った動きが見られない中で、市場ではミステリアス・ラリー(不思議な上昇相場)と話題になった。後に中国個人の大量買いが判明したが、同じ現象が起きていると断定できないものの、可能性は否定できない。

中国人民銀行がここに来て金準備の増加を再び公開し始めた折でもある。

 

ここまでは本日昼前に書いたのだが、10日のNY時間外もここまでのところ上値追いで2700ドルを突破し、ここまでのところ一時2711.40ドルまで高値を見ている。

 

本日は米12月の雇用統計が発表される。もともと秋に起きた2つのハリケーンの影響やボーイング社のスト長期化で前月比雇用者数に10月、11月とややイレギュラーな数字が出た経緯がある。今回12月の非農業部門雇用者(NFP)数の市場予想は前月比16万5000人増となってる。ロイター調べでは12月分としては2019年と18年の実績に沿った数字とされる。前日発表された12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも今後の利下げ回数の減少が示唆されたとおり、よほどの下振れサプライズでもない限り、金市場への影響はないとみられる。

 

実際に9日も複数の米連邦準備理事会(FRB)高官による当面の利下げ慎重発言が相次いだ。

9日はボウマンFRB理事が、講演にて直近12月の利下げ決定にも反対する可能性があったと明らかにした。賛成したのは「(金融引き締めの)再調整の最終段階を意味するためだ」としてインフレ再燃懸念から今後の利下げには否定的な見方を示した。同理事は0.5%の利下げを決めた9月のFOMCにて理事としては19年ぶりに反対票を投じたことで知られる。

ボストン連銀のコリンズ総裁は、米経済の先行きには「相当な不確実性」があると指摘。政策金利の調整ではよりゆっくりとしたアプローチが必要とした。ハト派で知られるフィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、「(利下げを)いったん休止し、事態の進展を見守るのが適切だ」と発言している。

こうした姿勢は、単月の雇用統計の結果では覆らないと思われる。

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