亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金反落も意外な強さ

2025年01月14日 20時05分41秒 | 金市場

日本が祭日となった1月13日のNY金価格は5営業日ぶりに反落した。先週末比36.40ドル安の2678.60ドルで終了した。

先週来発表されている米経済指標が予想を超える堅調さを示していることを受け、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを当面休止するとの見方が強まっている。その中で米長期金利の基準となる10年債利回りが一時4.808%と23年11月1日以来1年2カ月ぶりの水準に上昇。

米国との景況感とともに金利差の拡大から、ドルが上昇し、他の主要通貨が数年ぶりの安値に沈んだ。ユーロは対ドルで一時2022年11月以来の安値に沈み、1.0246で終了、同様に英ポンドは一時、14カ月ぶりの安値を付け、豪ドルも一時、20年4月以来の安値まで下落した。

ドル指数(DXY)は言うまでもなく上昇。一時110.176と22年11月10日以来2年2カ月ぶりの高値を付け109.956で終了。

昨年末から続く一連の米長期金利とドルの上昇に先週は米株式市場も下げ幅を拡大していたが、一方で金市場の方はいわば逆行高状態にあった。それも、週明け13日はさらなるドル金利とドル高の高進に我慢も限界という体で反落ということに。

米国株の方はNYダウが反発したが先週の下げが大きかったので自律反発ということか。

 

NY金は逆風の中で先週は4連騰と上昇を続けた。

10日に発表された注目の24年12月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は25万6000人増加し、市場予想の16万人増を上回った。失業率も4.1%と、前月の4.2%から低下したこと受け、FRBによる年内の利下げ観測は大幅に後退した。結果を受け市場では、今年の利下げ見通しを引き下げる金融機関が増えている。関係者の中には利下げゼロを指摘する声もある。

こうした中で、10日は25年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つセントルイス連銀ムサレム総裁が、今後の利下げについて「(大幅利下げでスタートした)昨年9月に考えていたよりも緩やかでなければならない」と発言。先週は複数のFRB(米連邦準備理事会)高官が利下げに慎重な姿勢を示したが、ハト派を含め慎重姿勢が大半を占めている。

それに従い、次の利下げタイミングも6月や7月と後送りされている。

 

それでも10日のNY金は雇用統計発表直後こそ下げで反応したものの直ぐに買い戻され一気に高値追いで2735.00ドルまで付け、終盤はやや売られたものの2715.00ドルで終了した。終値ベースでは昨年11月5日以来の高値となった。つまり米大統領選の結果判明前の水準に近付いた。

先週10日金曜日に「よほどの下振れサプライズでもない限り、金市場への影響はないとみられる」と書いたが、むしろ上値追いで反応と言うことになった。

 

ちなみに10日は金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」の残高が1日で5.74トン増加した。環境からは意外感の大きい動きと言える。この買いの主体は何なのか。興味深い。

 

今月20日にトランプ次期米大統領の就任式があり、関税など公約に関連するセンセーショナルな発言を誰もが想定している。どの程度の内容になるのか否か。先行きの不透明感は昨年同様であり、金価格をサポートしている。15日に12月の米消費者物価指数(CPI)の発表が控えるが、当面FRBの利下げはなしで織り込んでおり、CPI(米関連指標)よりトランプ発言が市場の関心事になる。

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