NY金の2600ドル台中盤でのもち合いが続いている。1月7日は3営業日ぶりに反発し前日比18.00ドル高の2665.40ドルで終了した。
市場の関心はこのところ続いている米長期金利の上昇に集まっている。7日は発表された米国関連指標の好調さを映し、インフレ再燃懸念から米連邦準備理事会(FRB)の利下げ回数減少観測から、10年債利回りが8ヵ月半ぶりの高水準まで上昇。株式市場では金利上昇に反応しやすいハイテク株の下げが目立った。
金市場も長期金利の上昇に上値を抑えられながらも、国際政治上指摘されているリスク(地政学リスク)が2025年も高止まりするとの見方を背景に、買い優勢の流れとなった。
金市場の内部要因では、7日に発表された中国人民銀行(PBOC)の外貨準備統計にて金(ゴールド)の持ち分が2カ月連続で増加していたことが好感された。12月の増加分は33万オンス(10.26トン)と前月比倍増し人民銀行の持ち分はIMF(国際通貨基金)届け出ベースで7329万オンス(約2280トン)となった。
7日に発表された11月の米雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が25万9000件増の809万8000件と6カ月ぶりの高水準となり、市場予想の770万件を上回った。ビジネスサービスなどでの増加が寄与した。求人件数はほぼ3年にわたって減少傾向が続き、労働市場の悪化懸念からFRBによる一連の利下げにつながった。今回の統計はそのトレンドの変わり目との指摘がある。 一方、12月のISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景況指数は54.1に上昇し、市場予想の53.3を上回った。サービス業の活動拡大ペースが昨年12月に加速したことが示された。需要の増加を背景に、仕入れ価格指数は2023年2月以来約2年ぶりの高水準となった。需要は底堅く、インフレが根強く続くとの懸念につながっている。
これら指標を受けFRBが利下げ回数を減らすとの見方が高まり金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウオッチ」では、25年末までに3回以上利下げとなる確率は大きく低下し、2割弱に減少している。
利下げ観測の低下は金利に上昇圧力をかけ、指標となる10年債利回りは一時昨年4月28日以来となる4.702%(ファクトセット)まで上昇し、4.687%で終了した。8カ月半ぶりの高水準となる。30年債利回りは、4.919%で終了し23年11月以来の高水準で終了した。
それでも目立って下げないNY金だが、今月下旬からは中国の春節需要のトップシーズンに入る。
すでに手当買いも進んでいると見られるが、昨年の年初のように一般の現物買いのうねりのようなものが起きるのか否か、興味深い。人民銀行(PBOC)の2カ月連続買いの発表は中国国内の一般のセンチメントを押し上げると見られる。
本日8日は昨年12月17~18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公開される。メンバー予測にて利下げ回数が引き下がった背景に注目が集まる。