日本時間本日未明に伝わったイスラエルとイスラム組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザでの戦闘停止に合意したとの話。23年10月から続いていた衝突が収束に向かい、中東での地政学リスクを巡る懸念が後退するとの見方が浮上した。
ただし、16日午前のアジア時間のNY金は、前日比プラス圏となる2720ドル台で推移し、現時点は日本時間21時だが2740.50ドルまで買い進まれ、2730ドル台での取引となっている。
午前の時点で書いたレポートには、「トランプ次期米政権を巡る政策など、不透明要因の存在がサポート要因になっているとみられる」と書いた。10日のここに、1月29日の春節を前にした中国の買いの可能性を書いた。中国と言うよりも中華圏での金需要の高まりという季節要因を超えた、今では購買力を付けた個人の現物買いが相場への影響力を強めている現実がある。 そこに来週20日に発足を控えたトランプ第2次政権の政策に関する不透明性が、相場の買い手掛かりとして乗っている。
20日のロンドン時間、NY時間外まで続く流れか。
15日は午前早くに発表された12月の米消費者物価指数(CPI)を受け米長期金利が大幅に低下し、NY金は買いを集めた。前日比35.50ドル高の2717.80ドルで終了した。昨年11月5日の米大統領選投票日当日以来の高値となる。
12月の米CPIは前年比2.9%上昇した。伸びは前月の2.7%から加速し、昨年7月以来の大幅な伸びを記録した。前月比でも0.4%上昇と11月の0.3%上昇から加速し、こっちは昨年3月以来9カ月ぶりの大幅な伸びとなった。ところが、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年比3.2%上昇、前月比0.2%上昇となり、ともに11月の3.3%上昇、0.3%上昇から鈍化し、物価上昇圧力が緩和されつつある兆候を示唆したと受け止められた。
もともと総合指数の加速は、ガソリン価格の上昇が、CPI全体の伸びの40%超を占めるエネルギー価格を押し上げたものだった。
市場はコア指数の鈍化を好感。前日発表の12月の米生産者物価指数(PPI)の上昇率も市場予想以下だったことも伏線となり、インフレ再燃への警戒がいったん後退した。
意表を突かれた形の債券市場では、空売りしていたファンドの買戻しの動き(ショートカバー)が活発化し価格は急伸し利回りは急低下した。前日には一時1年2カ月ぶりの高水準となる4.817%まで上昇していた10年債利回りは、一時4.641%まで低下し4.657%で終了。一日の低下幅としては昨年11月下旬以来の大きさとなった。
それに合わせ前々日に2年2カ月ぶりの水準となる110ポイント超まで買われていたドル指数(DXY)も続落し、一時108ポイント台まで半ばまで水準を切り下げた。 本日、現時点ではDXYも米長期金利もやや上昇している。