昨年末から目立っている米長期金利の上昇が、ここに来て加速しており、8日は指標の10年債利回りは昨年4月以来の高水準まで上昇。普段はあまり注目されない20年債利回りは、一時5%の節目を超え話題になった。
米国のみならず主要国全般にも上昇が波及し、長期金利は軒並み上昇だ。
トランプ米次期政権の関税策などを意識した動きと言えるが、英長期金利は8日一時4.81%と2008年8月以来の水準まで上昇。2022年秋のトラス政権下(短命に終わった)にて、国債利回りの急騰(国債価格急落)が英年金基金を破綻の瀬戸際まで追い込んだ当時の水準を超えている。
教科書的には長期金利の上昇は、その通貨の買い要因になるが、足元で英ポンドは売られている。つまり英国債と英ポンドが同時に売られている。これで株が大きく売られたら資本逃避ということになるが、そこまでには至っていない。執筆中の現時点で英10年債は4.841%とさらに上昇。つまり16年5カ月ぶりの水準まで売られている。株は前日比プラス圏。
日本の長期金利もこのところジワジワと上昇し気が付けば8日は1.180%と13年半ぶりの水準に上昇。もともと0.1%が長く続いており、政府財政には大きなプレッシャーとなる。本日9日は一時1.195%まで見て現在は1.177%に。
米関税政策の見通しについては、8日CNNがトランプ次期米大統領が、全面的な関税を導入する法的根拠とするため国家経済の緊急事態宣言を検討していると報じた。
長期金利の上昇とともに、ドルも主要通貨に対し上昇しドル指数(DXY)は2年2カ月ぶりの高水準となる109.09で終了した。DXYは本日時間外取引で109ポイントを上回っている。 こうしたいわば逆風の中で8日の金(ゴールド)は、NY時間に入りCNNの報道に反応する形で買い優勢の流れとなり水準を切り上げ一時2687.00ドルまで上昇。昼前には利益確定の売りに一時上げ幅を失ったものの、終盤にかけ買い戻されて終了した。NYコメックスの通常取引は前日比7.0ドル高の2672.40ドルで終了した。約1カ月ぶりの高値となる。
8日はメキシコ湾をアメリカ湾に改称するといった発言が飛び出したが、カナダの属州化やグリーンランドを巡る発言など、強権的なトランプ発言が金市場の買い手掛かりになりつつある印象だ。 9日のNY時間外の現在、2680ドルをやや上回る水準で推移中。想定外の強さ。中国の買いか?
8日は昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公開され、ほとんど全ての参加者がトランプ次期政権の関税策などを踏まえて「インフレの見通しが上振れするリスクが高まった」と判断したことが判明した。
詳しくは報道を当たってもらうとして、今回の内容から今月下旬のFOMCのみならず、次回3月の会合でも利下げは見送りとの見方が市場に織り込まれることになった。 最初の利下げは早くても25年5月とし、25年に2度目の利下げが行われる可能性も50%程度に低下している。本来、ゴールドの売り要因。