30日のNY市場で金価格を押し上げたのは、FOMCの決定ではなくビッグ・サプライズとなった米10-12月期GDPだった。報じられているように1%強の市場予想に対し結果はマイナス0.1%というもの。0.1でもマイナス成長が衝撃的だった。少なくともイメージは。もちろん内容を精査すると個人消費や住宅投資に見るべきところがあり、表面上の数字ほど悪くはなく、それゆえメディアの扱いも株式市場の反応も落ち着いたものだった。具体的には、国防支出の大幅減少と在庫投資の鈍化などで、これ以外を数字だけ見れば2%台の成長となるのだと。
しかし、政府支出の減少が景気に大きな影響を与えるというのは、いわゆる「財政の崖」回避の中心課題だが、今回のGDPの結果はそれを如実に示したことになる。攻防関連の投資減少でマイナス成長に陥った事実は、財政赤字減らしは難しいというよりも、今はできないという現実を改めて示したことになる。年末に「崖」を回避しようとギリギリまですったもんだしたが、その前に「崖」とは言わないまでも「坂」を転げ落ちていたわけだ。
こうなると1月1日の深夜の合意に際して2ヵ月先送りし3月1日が期限となった「歳出の強制カット」だが、カットなしと出来るのか否か。カット見送りならば増税などカバーする話し合いをすることになるが、ではどこで補うかとの話は急には決められない。後1ヵ月の時間しかないのだが・・・。
さらに昨日のここにも掲載した一文で取り上げた消費者信頼感指数が予想外に落ちていたことが気にかかる(58.6と前月66.7から急低下で過去1年余りで最低)。なかでも「(今後6ヵ月の)期待指数」が前月の68.1から59.5に落ち2011年10月以来の最低になっていたこと。これも「崖」問題に関連するが、(財源確保のため)給与天引きの社会保障に当てる「給与税」の減税が年末で失効し、今月から4.2%から従来の6.2%に戻り給料からの天引き額が2%増えている。中間層を意識したオバマ政権の所得税減税(ブッシュ減税)は継続恒久化され関心が集まる一方で、実質的に前年よりは(話題の富裕層ではなく)給与所得者も負担増となっており、もともとその影響が懸念されていたが、今回のデータはそれを表しているとも捉えられる。2.2%増となっていた個人消費には反映されていない変化が今月から加わっているわけだ。
かかる状況の折に出口戦略もあるまいと金は上昇。さてさて、今日明日と発表される各種データはどうなるか。