議長として政策変更を伴う最後の連邦公開市場委員会(FOMC)となった今回の会合。イエレン議長は、いつもは1時間弱程度で終わる記者会見も、今回は1時間10分ほど続く延長バージョンだった。最後ということで質問も通常では出ないようなものもあり、これまでのようなピリピリした緊張感に包まれた記者会見とはやや趣が違ったような印象。任期中に25の目標達成とならなかったインフレ率については、「未完の任務」とした。パウエル次期議長に任せるということに。
今回のFOMCの声明文にサプライズはなし。ただし、経済見通しでは2018年の成長率を前回9月の+2.1%から+2.5%に大幅上方修正、失業率は同4.1%から3.9%と改善の加速を予想したにもかかわらず、インフレ率については目標とする2%を下回る水準にとどまるとしたのは、景気の加速にインフレがついてこないということを認めたということか・・・・。景気は拡大するものの、インフレはついてこないので、利上げは緩やかという解釈となれば、これは株式市場にとって都合のいい環境が続くということになる。
こう見ると市場にやさしい利上げシナリオであり最後までハト派的な内容で終了ということだが、この内容でカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁の2名が反対票を投じた。これは、ややサプライズ。2人の反対は、以前から判明している鈍い物価上昇と利上げの継続に関しての意見対立を思わせることから、年明け早々の3週間後の議事要旨の発表が材料となる展開が考えられる。年始から要注目ということに。
それにしても税制改革法案の成立にメドがたったということで、ならばFRBもそれを考慮して、政策の引き締め度を高めるであろうと読んだ市場。対して、FRBの方は減税の景気刺激効果を織り込んで景気見通しの上方修正に踏み込んだものの、それでも物価は上がり難く当面基準を越えないとしたFRBとの間にあるギャップは、これまでと立場が入れ替わっているように思われる。