亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

方向感の出ない期末

2011年06月30日 23時32分39秒 | 金融市場の話題

ユーロ圏ではギリシャ議会の採決で緊張状態がひと段落する動きと同時進行で、民間の金融機関が保有するギリシャ債の乗り換え(ロール・オーバー)を巡り、政府サイドと金融機関の話し合いが進められている。

 

ポイントはあくまで強制ではなく債権者(金融機関)からの自発的な申し出に沿った行動にするという部分にある。債務の再編に関連するものは、どんなものでも部分的であれデフォルトにあたるという格付け会社の方針とデフォルトにしてほしくない当局のせめぎ合い。

 

日経電子版に掲載された英FTの翻訳記事にドイツ銀行のアッカーマン総裁とメルケル首相のやり取りを報じたものに以下のようなものがあった。

 

「民間銀行が自発的に参加することについて29日のドイツ議会でアッカーマン氏とメルケル首相の激しい応酬があった。アッカーマン氏は「我々は解決のため手を差し出すが、喜んでそうするわけではない」とかみついた。これに対しメルケル首相は、政治的に安定した環境での事業継続を望むならば、民間の債権者が納税者と負担を分け合うことは自身の利益なのだから、支援策に「喜んで」参加すべきだと反論した。」(引用終わり)

以前からドイツでは政府が債権者が応分の負担を負うべきというスタンスで臨んできた。しかし、それを追求することがギリシャ債をデフォルトに追い込むことになるため、金融システムのひび割れにつながるとECB(欧州中銀)が強硬に反対してきた経緯がある。そこで苦肉の策が、債務者ではなく債権者側が自ら申し出て(つまり自発的に)償還期限の長いものに再投資(乗り換え、ロール・オーバー)するというもの。まずフランスで政府サイドと銀行協会が合意と伝えられ、ドイツでも話合われているのだが、引用した記事からは“自発的”を演出していることがうかがえるわけだ。ECBのトリシェ総裁は、ECBとしてはロール・オーバーには参加しないとしている。

・・・・とここまで書いて、ドイツの大手行がロール・オーバーで合意というニュースが入って来た。当座の危機を回避にやっき。早晩、ギリシャの“改革の進行度合い”から現実が見えてくるはず。それまではギリシャが落ち着けば、市場の目は米国の債務問題に集中の順番。

 

話は変るが、さきほど発表された6月の米シカゴPMI(購買部協会)景気指数だが、前回56.6で今回の予想が54.0となっていた。続けて落ち込みを市場は読んでいたのだが、発表された数字はなんと61.1。良かった。この指数は、明日発表が予定されているISM製造業景気指数の先行指数と目されているもの。悪化が予想されているISM(製造業)だったが、どうなるか。

 

悪いという予想の下で動いていたきらいがある金市場では売り物が、米国債にも売り物でこちらは急落すなわち利回り急騰中。方向感の出ない四半期末。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ギリシャnarrow escape | トップ | シカゴPMIからISMへ金... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金融市場の話題」カテゴリの最新記事