goo blog サービス終了のお知らせ 

亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

253兆円もの空前の円ショート

2012年05月22日 21時04分08秒 | 金融市場の話題
さて昨夜ここに書いたものと関連するデータが本日財務省から発表された。2011年末の対外純資産が253兆円というデータがそれ。「断トツの海外純資産保有国の日本ゆえに、日本が危機ということになれば資金のレパトリ(引き上げ)が起き」、その結果「他の主要国が安泰ということはなかろう」とした。

タイミングよく発表されたデータによると対外資産残高は582兆円(兆円未満切り捨て)。対して対外負債は329兆円となった。差引253兆円の対外純資額で前年が251兆円だったので円高による目減り分を補って増加したと。日経夕刊がある地域では、本日の1面に記事があるのでご覧あれ。そこに表があり上位5番目までの国・地域が掲載されてるが、2位が中国で約138兆円となるが、当方の記憶では前年は146兆円台だったのでこちらは減ったことになる。3位のドイツも約93兆円は前年が100兆円以上あったはず。いずれにしても抜きん出たトップで、いわゆるこれが昨年の速報値で14兆円の所得収支の源泉ということ。貿易収支の黒字を大きく凌ぎ、昨年はその赤字をカバーした。しかも「日本は21年連続で世界最大の債権国となった」と。この辺りはセミナーで毎度指摘しているのだが、“失われた20年”に被る部分がここ。少子高齢化で伸び代のない衰退の国とややもすると卑下した表現が使われるのだが、国富は、掛る状況にあるということ。

この差引253兆円の意味するところは、我らは国としては253兆円の円ショートを抱えているというわけだ。円の暴落など簡単には起きないことになる。しかも基盤としては経常収支が黒字ゆえに(為替変動にもよるが)、黒字の分この資産は増えることになる。さらに加えるならば、すでに日本の商社は投資会社に変貌しているように、外の資産も単に証券投資というこれまでの姿から直接投資が増え、内容が変わりつつあるということ。他国に比べればまだまだだが、70円台に突っ込んだ円高で(守りではなく攻勢という意味で)外に打って出るところも増えている。ユーロ圏危機で(外銀が手放す)思わぬ掘り出し物もあるらしい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ギリシャの比ではない | トップ | テクニカル主導で続落 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金融市場の話題」カテゴリの最新記事