マクロビオティックな歯医者さんの食と暮らし                   食養塾 無何有庵の日々

無(む)と空(くう)の癒しの時間の中で、心食動息の一つ一つを共に考えていきたいマクロビオティックなスペース。

羹のコース<第10回>、最終回。

2006年09月13日 20時22分56秒 | マクロビオティック料理応用 羹(こう)
今日は羹のコース春夏の最終回でした。

お手当ては年に2回の鯉こくを致しました。

昨日仕入れてきた鯉のステファニーちゃん、井戸水で一晩泳がせ汚れを抜きました。(ありがとうね、命を分けてくれて)

※毎回、鯉こくに使わしていただいている鯉には、名前を付けます。非常識だとか心無いと思われる方もいらっしゃると思いますが、毎回お病気で鯉の命を頂く方も大勢いますし、教室でお勉強させていただいているわけで、名無しの鯉ではなく毎回特別な命の出会いなのであえて名前を付けています。命を頂いた皆さんが一生忘れないように・・・。



鯉の生命力はすごいものがあります。昨夜酸欠で危うく死にそうになりあわてて井戸水の蛇口から水を補給すると息を吹き返し、その強さを再確認いたしました。

今朝は、教室が始まると同時に牛蒡のささがきを山ほど作り、蒸し煮。
鯉は生きたまま急所を強く打ち仮死状態にし、鯉を次々とさばいていきます。

    

濃厚なスープは、汗が出るほど温まる滋養のある味わいです。
癌で闘病中の方々や母乳育児で乳の出が悪い方などにもおすそ分けできて、ステファニーちゃんはたくさんの命を紡いでくれました。ありがとうね。
みんな、ステファニーちゃんのことは一生忘れないからね。

    

今日のメニューは、蓮根と菊花と本シメジを炊き込んで小豆と銀杏で萩の花の飾り付けをした萩ご飯、豆腐と大和芋のキッシュ、玉ねぎの蓮花銀あん仕立、玄米クリームの葛寄せ甘酒ソース。

玉ねぎを丸ごと柔らかく煮込んで蓮の花に仕立てるメニューは、飯のコース、羹のコースを2回受講されたKさんの得意料理。前回秋冬の羹のコースのときに、ご主人が絶賛してくださったことがきっかけで、茶懐石にも作ったりしてまた大評判となり、何度も繰り返し作るうちに18番料理の一つとなったそうで、今日は他の受講生の皆さんに料理を教える練習を致しました。

羹のコースを終えると、それで終わりとならないよう、せっかく習ってきた料理を一人でも多くの方に味わっていただくことができるよう、料理教室開きましょう!ホームパーティーを楽しみましょうと常々お話いたします。

今回の受講者の皆さんは、そういう意味では全員が次に繋いでいく行動力をお持ちで、私達講師陣も本当にやりがいのあるクラスでした。
全10回の半年間、本当にお疲れ様でした。次回料理持ち寄り卒業式には、皆さんの腕の見せ所ですね。期待いたしております。

お約束の7号食の体験も頑張ってくださいね。

鯉こく

2006年09月13日 19時27分24秒 | 自然医食のお手当て 掌(しょう)のコース
 マクロビオティックで、体の弱った時の手当てに使う陽性な食薬が鯉こくです。

活きた鯉を、鯉のニガ玉だけを取り除いて、ウロコから内臓、骨まで一物全体で鯉の全てと、鯉の見た目で三倍(重さで2倍)の量の牛蒡のささがきを蒸し煮したものと合わせ、茶殻をガーゼに包んだものと水を入れ、圧力鍋で1時間ほど煮込んだ濃厚な活力スープです。

       

 鯉の生命力は非常に強く、活きたままさばくと、その切り身はしばらく動いています。

 鯉は、大洋を回遊する陽性なマグロなどとは違い、淡水の中で静かに泳ぐ陰性な魚で、動物(陽)の中では最も植物(陰)に近く、寿命も長い生きものです。

牛蒡は野菜(陰)の中では陽性で、火を入れる(煮しめる)ほどに動物性(陽)に近くなります。陽中の陰の性質を持つ鯉と陰中の陽の性質を持つ牛蒡が陰陽調和し、牛蒡のアク気(ミネラル)や八丁味噌(三年間熟成した豆100%の味噌で動物性並みの陽性を持つ)により、鯉のタンパク質や脂肪を分解し消化吸収のよい食養料理になります。

鯉こくの効能は、玄米菜食をして痩せ過ぎてしまった方や、糖尿病やガンなどで痩せ衰えてきたときに頂くと、胃腸が温まり造血し体力が回復いたします。また、悪性貧血や虚弱体質、産後の肥立ちの悪い時、お乳の分泌が悪い時などに用いると食薬になる昔ながらのお手当てです。