マクロビオティックな歯医者さんの食と暮らし                   食養塾 無何有庵の日々

無(む)と空(くう)の癒しの時間の中で、心食動息の一つ一つを共に考えていきたいマクロビオティックなスペース。

発酵食品が大切なわけ。

2012年07月04日 00時27分13秒 | 庵主の日記
先日「酵母エキス」について書かせていただいた「発酵ブームで虫歯!?」の記事にもう少し補足したいと思います。


■発酵について


発酵食品を食べると、体の免疫力が高まることはよく知られたことですね。

発酵とは、微生物、または微生物の酵素が、人間にとって有益な物質を造り出したり、有効な手段になったりすることです。


発酵をさせる微生物はたくさんの種類がいて、たくさんの栄養成分を発酵の最中に生産して、食品の中に蓄積してくれます。
例えば、煮ただけの大豆とそれに納豆菌を繁殖させて作った納豆を比べると、納豆の方が圧倒的に栄養成分が高いのです。

また、発酵をする微生物は、原料の成分を分解してうまみの成分を造り出します。


つまり発酵食品は有益な菌の宝庫です。熟しておいしいブドウの実を、皮付きのままつぶし、容器に囲っておくと、15時間ほどするとぶつぶつと炭酸ガスが出てきてアルコール発酵が始まります。
ブドウの実の1gにはおよそ10万個ほどの酵母がいますが、発酵が起こって1日後には4000万個(400倍)、2日後には2億個(2000倍)に増えるとか。

ぬか漬けのぬかみそ1gの中には、
生きた乳酸菌が約8~10億個、その他の細菌や酵母も約1億個以上いるという報告があります。
有益な微生物は免疫物質を作ります。

発酵食品が傷みにくいのは、免疫物質がたくさんあるからだそうです。



■酵素について

「酵素パワ~の♫・・・」とCMでもおなじみ洗剤にも酵素が使われていますが、
酵素には色々な種類があります。

酵素は「生命活動をしている生物には必ずある物質です」
ほぼ「タンパク質」からできています。
アミラーゼ、ペプシンなど私達の体には約15000の酵素があるそうです。

生命のあるところには必ず酵素があります。私達が生きて行くには酵素の力が必要です。
生物は酵素がなければ生きられないのです。

 
生物の二大要素は、核酸からなる遺伝子を次の世代に伝えて子孫を残す「遺伝」の働きと、外から摂取した色々な物を素材とし、自分の体を作ったり、活動のエネルギーを得るといった、タンパク質からなる酵素を中心とする「代謝」の働きを持っていることです。

酵素は、この「代謝」に深くかかわっているのです。

生物は生きて行くために必要なものを取り込み、それを分解したり合成したり、調節したり、不要になったものを外に出したりと、体の中で色々な化学反応を絶えず行っています。
こういったすべての反応に酵素が関わっています。

代謝を助けるのが酵素の役割です。

私達はご飯を食べると唾液に含まれるアミラーゼという酵素によって、ご飯が消化され栄養として吸収されます。このように食べたものを消化する酵素を「消化酵素」といいます。
 
また、呼吸をしたり運動をしたり、細胞分裂をしたり、ケガを治したりと体の新陳代謝を司っている酵素を「代謝酵素」といいます。

上記のように、私たちには、大まかにいうとこの二つの酵素があります。
どちらも「潜在酵素」という体の中に備わっている酵素の元から体内で作られているのです。


私たちの体にはたくさんの酵素があり、成長、活動、生殖などに必要です。
胃、腸、肝臓、腎臓、肺、筋肉、血液、脳、あらゆる組織にそれぞれの働きに必要な色々な酵素が含まれています。

私たちは、食べ物を食べても、そこに消化酵素がなければ栄養になりません。

デンプンはアミラーゼという酵素によって消化されます。
1gでデンプン5トンを15分で溶かしてしまいます。

タンパク質はペプシンという酵素で、消化されます。
1gで牛乳2000リットルのタンパク質を15分で溶かします。

脂肪はリパーゼで消化されます。
こうやって食べたものは、消化酵素により消化され、栄養として吸収されて行きます。


体内に酵素が多い人は、元気です。
生物は酵素がなければ生きてゆけないのです。まず酵素ありきということです。


酵素は代謝と関係するので、飲食のスタイルで酵素の無駄遣いも当然起こります。
食べ過ぎて「消化酵素」として潜在酵素を使ってしまうと、その分「代謝酵素」に回される量が少なくなるので、病気が治りにくくなったりします。

また、年齢とともに、酵素を作る能力が衰えるのは、自然の摂理です。

特に、昔のように、ちゃんと醸造された味噌や醤油、漬け物、それから、焼き魚に大根おろしと言った付け合わせの智慧のある生活から、欧米化された食事スタイルと化学添加物にまみれた加工食品を多く採っている現代の食事スタイルの変化は、酵素の不足を招くのです。
また、酵素は補酵素といわれる有機化合物などがないと働きません。
補酵素は酵素が働くために必要で、多くのビタミン類やミネラル類です。
ビタミン、ミネラルも酵素が無ければ働けません。
しかし、農薬や化学肥料などが原因で、昔に比べて質の落ちた土壌で作られた農作物のミネラル不足は歯止めがかかりません。

酵素不足、補酵素不足は現代人の大きな課題となり、
「食物酵素」や、微生物が作る「体外酵素」など、潜在酵素の不足を補うものとして、注目をされているゆえんです。


野生の動物が病気になりにくいのは、生食して食物酵素をこわさず食べるからだそうです。
野生の動物は消化酵素を無駄づかいしないそうです、
それは生の物しか食べないからです。
自然な物しか食べていない野生動物の唾液の中には、
人の唾液のようなアミラーゼという消化酵素がないそうです。
天然の野草の中に分解酵素が含まれているからだそうです。
消化酵素が含まれている物しか食べないため、
アミラーゼを体から分泌する必要がないのだそうです。
そうやって野生動物は体内酵素を温存し、病気になりにくいのだそうです。

ところが、野生動物を捕獲して、人間が食べているような、
煮たり焼いたりした物を食べさせると、1週間で唾液の中に
アミラーゼが分泌されるようになるそうです。
これは食べ物が変われば、それにあわせて消化・吸収を行うシステム、
消化液などが変わるということを示しています。
人にペットとして飼われている動物が生活習慣病になるのも解ります。

火食をすることで、動物と人間の大きな違いが生まれたのですが、火を使う人間の食事は酵素をたくさん必要とする食事となりました。唾液などに含まれるアミラーゼなど、動物にないシステムを持っているのは、生きるための進化といえるでしょう。

しかし、現代人は体内で作る酵素の供給に追いつかない消費をしています。

たばこを吸ったり、お酒を飲んだり、スナック菓子、ファーストフード、加工食品、食品添加物、薬、過食、ストレス、などで酵素が減って行きます。

さらに、不規則な生活をしていると酵素を失うことになります。

こういったことから、現代人は酵素不足といえるのです。
ですから生命体が作ってくれる体外酵素を取り入れる事が重要と言われているのです。

発酵食品や、生の野菜など、適度に摂取していた日本の伝統食は、本当に素晴らしいと言えますね。
もう一度見直したいものです。

さて、私が懸念するこのところの発酵ブームに便乗した様々な発酵商品。
酵母ジュースやエキス。
かなりの砂糖を使っています。
歯を壊す食べ物が、身体にいいというのがどうしても納得できないのです。

飲む点滴とはやされて毎日飲みましょうと謳われる甘酒。
甘酒を否定することではないのです。
毎日はどうなのでしょうか?
点滴は毎日はしませんよね?

マクロビオティックをされている方に、歯のいい方が本当に少ない。
甜菜糖、メープルシロップ、アガベ、羅漢果・・・。
次々と砂糖に代わるオルタナティブな甘いものを追いかけていませんか?
そして、歯肉炎、虫歯、歯周病・・・。

米飴だって、身体にいいと謳われます。
でも、毎日摂取すると必ず口腔内に問題が出てきます。

臨床は、あるがままで嘘をつきません。
事実なのです。

同じ発酵でも、糖化発酵について、どうぞ、皆さん気をつけてください。

たとえマクロビ対応であっても、甘いお菓子(米飴、甘酒)、ジュース、果物、パンを全部あわせて週に1回。それが、松見歯科の結論です。

そのためにも、ご飯をしっかり頂きましょう。
甘酒になるまで、ご飯をよく噛んで食べる。
まずは、そこからはじめませんか?

お楽しみは、そのあとです。