「宗教生活の原初形態」を読む。エミール・デュルケム著。岩波文庫。
個人を超越した力を持つ社会こそが宗教の源泉で、神々や神話はある程度文明が発達した後になってからつけ加えられたものだ、という。
デュルケムが考えるオーストラリア原住民の社会。彼が批判するタイラーやフレーザーが考えるオーストラリア原住民の社会。この本を読んで私が想像するオーストラリア原住民の社会。そして、100年前の実際のオーストラリア。現在のオーストラリア。世界がどんどん増殖していって、おもしろい。
「古い神々は老い、あるいは死に、しかも他の神々は生まれていないのである」、と100年前にデュルケムは書いている。このことは現代にも当てはまるが、果たして神に出番はあるのだろうか。古い神を引用する人間、は少なくないが。