アドラー心理学が、はやりらしい。ワシもこの間の 「 100分de名著 」 を見たが・・・・・・。
いくつか気になる、いや、気に入らない点がある。
まず、「 フロイトとユングは原因論を唱えた 」 というが、これは、ユングについていえば不正確だ。たとえば、夢の解釈について。ユングは、 「 どうしてそういう夢を見たのか 」 だけではなく、「 今そういう夢を見たことの意味 」 を考えるべきだ、と主張している ( 平凡社 「 創造する無意識 」 所収の 「 超越機能 」)。
これは、アドラー派の人たちが意図的に流しているデマ、ではないだろうか。
また、アドラーの唱える目的論だが、これはあくまでもアドラーがこしらえた 「 理論 」 というか、「 フィクション 」 だろう。「 実際の 」 感情や行動に、すべて合理的な目的があるわけがない。
目的ばかり追求することは、問題の原因をほったらかしにする、見て見ぬふりをすることにつながらないか。そういう生活が、長続きするだろうか。虚勢を張っているだけのようにも見えるが。
番組では講師の先生が、「 社員の勇気をくじくだけの会社なんて、辞めればいい 」 とおっしゃっていたが、これは体のいいリストラなのではないか。企業がこの心理学に注目しているというのが、どうしても引っかかる。アドラーの目的論には、企業の有り様を隠蔽し、維持するという効能がある ( あるいは、そのように期待されている )。そんな疑念が、拭えない。
さて、アドラー派の人たちの承認欲求は、満たされているのだろうか。