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「金色夜叉の逆襲」を観る。
小説の中の世界と現実世界との境界があいまいになるのは、「花と蛇」や「女神ワルキューレ海底行」にも出てくる、高取英得意の手法。観客は幻惑され、もしかしたら、自分もだれかの書いた作品の中に生きるキャラクターに過ぎないのではないか、という疑念に捉われることになる。それは、自分の日常生活を見直すきっかけになる。たとえそうではなくとも、実質的にはそれと同じようなものではないか、と。
この意味で、確かに月蝕は、寺山修司の演劇の流れを汲む劇団なのだ・・・・・というのは私の解釈だが、どんなもんだろうか。