リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

少年たちは秀吉の前でどういう曲を演奏したか(4)

2021年07月05日 21時03分12秒 | 音楽系
次にパレストリーナより年長のアルカデルトです。彼は若い頃はローマに住んでいたようですが、1553年にはフランスに出国して、1568年にそこで生涯を終えています。ですから少年たちがローマに着いた頃には彼はもうそこにはいませんでした。

ただ1539年にヴェネチアで出版されたマドリガーレ第1巻は大変な売れ行きで当時としては超異例の34も版を重ねたそうです。

1571年生まれの画家カラヴァッジョはローマにいた頃(1593年から1610年頃)「リュートを弾く若者」という絵を描いています。その絵の中に楽譜が描かれていますが、その楽譜の曲がアルカデルトのマドリガーレ第1巻からのものである、ということを以前当ブログでご紹介し曲目も全曲(5曲)特定しました。

このことはアルカデルトが亡くなってから30年近く経っていてもローマでは彼の作品が人気であったことを伺わせます。パレストリーナはアルカデルトの影響を受けたといいますから、天正遣欧使節の少年たちはローマ滞在中にアルカデルトの作品を聴く可能性は大いにあったはずです。パレストリーナから直接アルカデルト作品を紹介されたかも知れません。