リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

楽譜の読み方、バーチャル楽器を頭の中に作る(6)最終回

2023年01月14日 19時39分44秒 | 音楽系
そこまでできるようになって、初めて楽器を持って弾いてみるのです。頭の中で作り上げた音楽はリアルな楽器だとそうは理想的に指運びができないところもあるはずです。でも楽器を使わずに作り上げた音楽は、リアルな楽器という制約を離れた表現ですから、リアル楽器ではそれを目指して曲を仕上げることができます。これこそ真にあなたが求めている音楽だという言うべきです。

この様な方法で読譜すれば初見演奏も確実に出来、初見が効くようになればより沢山の楽曲に触れることができるので上達も早くなります。暗譜も確実に出来、記憶もずっと長続きします。私自身は練習のとき以外は暗譜で弾きませんが、40数年前ギターを弾いていた時代は本番でも暗譜で弾いていました。1974年以来ずっとギターは弾いていませんが、その頃覚えた曲の何曲かは今でも覚えていて弾くことができます。

このバーチャル楽器、構築が難しそうにも思えますが、例えば将棋の世界で将棋盤を使わないで3、5、金とか8、8、飛車なんてお互いに言い合って進めていく方法がありますよね。脳内将棋なんて呼ばれているそうです。これってバリバリのプロ棋士だけが出来ることではなくて、大学の将棋部員レベルでも出来ることです。今なら小学生レベルでも出来るかも知れません。全国にできる人は一杯いると思います。そろばんの暗算でも3桁か4桁レベルの人ならやはり全国にごまんといます。脳内そろばんですね。

バーチャル楽器もいわば脳内楽器です。これが出来る人が全国、全世界に沢山いても別に不思議はありません。バーチャル楽器(脳内楽器)構築は始まりにすぎません。音楽芸術はそこを入り口にしてまだずっと先にあります。