リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

マチネの終わりに

2023年01月19日 14時14分02秒 | 音楽系
6,7年前に平野啓一郎作の「マチネの終わりに」という小説を買ったんですが、途中まで読んでそのままになり、また読もうかと思ったら本がどこかに行ってしまいました。(^^;)

仕方がないので文庫本を買ってこれもしばらくは積ん読でしたが、お正月のエンタテイメントで読んでみました。氏の小説は初めてですが、装飾的な華麗な文体がちょっと面倒くさいなとは思いましたが、世界の政治情勢や音楽業界の内情、ギター音楽を巧みに織り込んだストーリーの展開はリアリティと厚みがあり楽しめました。

作品の中で架空の映画音楽が出てくるのですが、「幸福の硬貨」と題されたその音楽にとても興味がわきました。その曲は小説の中で「静かなアルペジオの小曲」と表現されていますがどんな曲がいいのでしょうか。

2019年に映画化もされているのですでに「幸福の硬貨」という名の曲はあるはずで、調べてみましたら2種類の曲がありました。ひとつは小説発表後に作曲されたもの(林そのか作曲)、もうひとつは映画化された際に作曲されたもの(菅野祐悟作曲)です。

でもいずれも静かな感じではあっても「アルペジオの小曲」ではない感じですねぇ。アルペジオの曲ですから、例えば禁じられた遊びとかディア・ハンターの曲みたいな曲建て付けの曲だと思うんですけど。確かに2曲とも和音をジャンと弾かないでアルペジオで弾くことはできるのですが、それは「アルペジオで弾く曲」であって「アルペジオの曲」ではないでしょう。時間があったら「第三の」幸福の硬貨を作ってみようかしら。いまさらみたいな感じもしますが。(笑)ちなみに発表されている2曲のうち、映画の挿入音楽の方がギター曲としては成功していると思います。もうひとつの方はキーボードライクな作りです。

You Tubeにはこれらのヘッタクソな(失礼)演奏にあふれていますが、ひとつだけとてもいい演奏がありました。立場上人様の演奏についてあれこれいうのは控えていますが、私がやっている音楽とは遠く離れた音楽ではあるので、少しナイショで言わせてもらうと、・・・・で・・・ですけど、「イ」で始まる女性ギタリスト・・・、レベチ!すば・・・・。同じ名字の男性ギタリストの演奏・・・こっちはだいぶJR東日本日光線日光駅の手前・・・です。