リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

音楽の父と母(5)

2023年01月31日 16時16分23秒 | 音楽系
ヘンデルのアリアで多分一番有名なのはオペラ・リナルドからの「泣くのをお許し下さい」かも知れません。オリジナルはストリングスがバックにつきますが、この曲をリュート1本で伴奏するのもなかなかいい味わいがあります。調性もヘ長調で無理はないし。手前味噌ですが、オリジナルの弦の伴奏よりこっちの方がいい感じです。この曲はプログラムの一番最後にしましょうか。

ヘンデルが活躍したイギリスの時代は結構リュートが使われていた形跡があります。当時の写本に「リュートオブリガートによる」というタイトルが書かれていて、その曲もいかにもそれっぽく、実際にアーチ・リュートとかバロック・リュートで弾くのに適した音型です。バッハの995みたいにリュートのためにと書かれていて、楽譜ヅラもそれっぽく見えるのに実際に弾いてみると難儀するというのと対照的です。

少し前の時代のヘンリー・パーセルの曲を収めたオルフェウス・ブリタニクスの表紙にも「オルガン、ハープシコード、テオルボ=リュートで弾くための通奏低音の数字付き」という副題がつけられています。もっともパーセルのこの曲集の中の曲はリュートで弾くのにはあまり適していないのも含まれていますが。

ともあれ17世紀後半~18世紀前半の時代のイギリスはなかなかリュートが重宝されていた時代であると言えます。当時の写本、大英図書館add MS14226からヘンデル作ではないですが作者不詳のカンタータ「リュートオブリガートによるカンタータ」から最初のアリアを演奏する予定です。これひょっとするとヘンデル作かも。