リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

日本でリュートが始まった頃(1)

2023年05月24日 18時21分58秒 | 音楽系
6月13日に母校のN大学で「リュートの響き、古楽への道」と題してレクチャーを行う予定です。そのレクチャー内容を整理するために「リュートが始まった頃」の様子を思い出しながら書いていきたいと思います。

私は小学校の低学年の頃ヴァイオリンを少しかじりるも2,3年で中断、その後中学校2年生の後半あたりからギターを始めました。中学校在学中にジュリアン・ブリームのギターによるバッハアルバム(BWV996&997)を購入してリュートという楽器があることを知りました。

高校に入ってから同じくブリームのアルバム「ヨーロッパのリュート音楽」を購入して始めてリュートという楽器の音とその音楽をレコードで知りました。そのアルバムの解説は後に師事することになる大橋敏成先生によるとても詳細な内容でアルバムを聴くたびに読み返していました。

同じ頃ヴァルター・ゲルヴィッヒのアルバムも購入しましたが、ブリームのリュートとの音の違い、曲の解釈がまるで異なることがとても不思議に思えました。

1968年4月にブリームが愛知文化講堂というところで名古屋公演を行いましたが、友人とその公演を聴きに行きました。ブログラムは前半がイギリスのリュート作品、後半がバッハのリュート組曲BWV996とヴィラ=ローボスのプレリュードなどを演奏しました。

このコンサートで一番驚いたのは、アルバムの写真などで見られた髪の毛ふさふさのブリームが頭がつるっぱげで後頭部のフチにだけ毛が残っている斎藤道三型になっていたことでした。(笑)当時は情報が少なく、本人のお姿はCDで見るもののみです。当時の来日を特集していた現代ギター誌の表紙はブリームのアップ写真でしたが、少し後退しているとはいうものの沢山残っていました。