リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

日本でリュートが始まった頃(2)

2023年05月26日 16時00分21秒 | 音楽系
オツムの話はさておき、ブリームの名古屋コンサートは、前半は私にとっては散々でした。私が勝手に想像していた楽器とは異なり、団扇みたいな不格好なボディの楽器をブリームは爪を立ててチンチンチンと弾いていました。当時私はリュートというのはもっとエレガントなボディと音色の楽器だと勝手に想像していました。(後日その想像は当たっていました)それは多分大橋敏成先生の解説を読んでそのように想像していたのかも知れません。

おまけにコンサート前半では会場で写真を撮っている人がいて、あまりに何枚も撮るのでそのシャッター音にブリームが怒って演奏を中断し舞台袖に引っ込んでしまいました。

前半のプログラムを聴いて、シャッター音は別にしても、リュートというのはこういう音の楽器じゃないはずだと私は本来のリュートを勝手に擁護していました。

コンサート後半のリュート組曲BWV996も演奏はボロボロで録音とはえらい違いでした。こちらはギターでの演奏でしたのでリュートの音はどうのこうのというのことは何も思いませんでしたが。

でもブリームの名誉のために言っておきますと残りの曲、ヴィラ=ローボスのプレリュードやソルのファンタジア、アルベニスのアストリアスはすごい演奏だと思いました。当時ギターの演奏会といえば、とてもプロと言えない人のものばかりで超低レベルでしたから、いきなり一流のプロの演奏を聴いて度肝を抜かれたわけです。