リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

日本でリュートが始まった頃(3)

2023年05月27日 12時20分22秒 | 音楽系
ブリームの名古屋公演を聴きに行く前、高校1年生の頃かひょっとしたら中学生3年生の頃だったか、アルヒーフというレーベルのレコードを出会いました。今で言う「古楽」のレーベルですが、その当時はまだ古楽ということばは定着していなかったと思います。

そのレーベルの解説はとても充実していて読むのが楽しみでした。さらに古楽普及という啓蒙活動の一環として、アルヒーフ友の会という会が作られ、入会無料で会員の募集をしていました。入会するとこれも無料で会誌が送られてきて、なかなか内容の濃い論文が掲載されていました。当時新進気鋭の音楽学者であった金沢正剛先生の「イギリスのリュート独奏曲とその作曲家達」という連載は何度も繰り返して読みました。その連載の中にリュートのタブラチュアが掲載されていることがあり、それをギターの3弦を半音さげて弾いてみますとそのサウンドが豊かで充実しているのにとても驚きました。

なぜ驚いたのかというと、その頃イギリスのリュート曲をギター用にアレンジしたギターピースは実は結構出版されていてそれを弾いてみましたが、なんか響きがチープであまり綺麗に響かないアレンジだったのでリュート曲というのはそんなものなのかと思っていたのです。