院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

源氏物語は面白いか?

2013-03-13 03:57:27 | 読書
 源氏物語は受験生泣かせの古文だった。それより後世の方丈記や井原西鶴の古文に比べて格段に難しい。名詞や助詞が省かれているから、源氏物語の読み方そのものを教わらないと、とても理解できなっかった。

 受験勉強をしていたころ図書館で与謝野晶子訳の源氏物語に出会った。面白いのだろうかと読んでみたが、ちっとも面白くない。こんなに面白くない小説を与謝野はよく訳したものだと感心した。

 後で分かったことだが、源氏物語は宮廷のゴシップ小説らしい。ゴシップだから当時の宮廷のことを知っている人には面白いだろう。しかし、宮廷の様子を知らない者や、後世の人間にとっては面白くもなんともない。

 それに比べると、枕草子のほうがまだ面白い。季節の感覚を取り扱っているからで、それは現代にも通じる。しかし、源氏物語は時間を飛び越すことができなかった。

 要するに源氏物語は他の物語に影響を与えたことや、その古典としての文化的な価値が重要なのであって、現代人が小説として読んでも、昔のゴシップ週刊誌を読むのと同じであまり意味がないと分かった。

 源氏物語の現代語訳はいろんな人が試みている。誰に読ませようと思って訳したのだろうか?瀬戸内寂聴さんが瀬戸内訳を出したが、あんなに大部ではとても読む気にならない。瀬戸内さんはどのような読者を想定していたのだろうか?実際、個人で購入した人はどれだけいるのだろうか?そもそも瀬戸内訳を根性で読破できる人は、原文で読めるのではあるまいか?

 他に大部すぎて最初から読む気をなくさせる小説に、チボー家の人々やトルストイの戦争と平和がある。これらを最後まで読んだ人たちは日本で何人いるのだろうか?買った人は結構いるかもしれないが、ほとんどの人が途中で挫折しているのではないか?