院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

ありえない都市・東京

2013-03-17 00:16:53 | 文化
 名古屋に住んでいたころ、遠方から友人が来ると案内する場所がなくて困った。名所といえば名古屋城くらいで、ほかにめぼしいところがない。名古屋城も天守閣と公園があるだけで、それでお終い。季節には菊花展などをやっているが、私もおそらく友人も興味がない。

 さいきん名古屋めしとして全国的に有名になった味噌カツや味噌煮込みうどんは、一度食べてみる価値があるだろう。これらは非常においしい。いずれも八丁味噌により作られている。(八丁味噌は米も麹も用いないらしい。味噌樽や味噌置き場に染みついた麹菌が働くのだろうか?不思議である。)

 高校を卒業してから単身名古屋に来て、驚いたのは味噌汁のうまさだった。八丁味噌の味噌汁で、現地では赤だしと呼ぶ。合わせ味噌の味噌汁しか食べたことがない私は、味噌汁とはこんなにおいしいものだったのかと軽いカルチャーショックを受けた。

 いま名古屋めしとして手羽先や、ひつまぶしや、あんかけスパゲッティーが言われるけれども、それらは後からできたもので、昔はなかった。小倉トーストは昔からどこの喫茶店でもやっていた。トーストにあんこをかけたものだが、甘いものが好きな私に抵抗はなかった。きしめんも昔からあるが、うどんや蕎麦に比べてさほどおいしいものではない。

 現在、豊橋にいて考えてみると、名古屋よりももっと名所や名物料理がない。夜の街も存在するが名古屋より劣る。友人が来たら連れて行くところがない。加えて、公営交通が発達していないから、自家用車やタクシーでの移動となる。

 やはり東京はすごいと思う。案内するところが沢山ある。上野、新宿、銀座、どこをとっても一日では回れない。それなのに、どこへでも公営交通で行ける。

 新宿なぞは、いま私が行くと迷ってしまう。渋谷も高校時代は庭のようにして歩いた道玄坂が迷路のようになっている。放課後立ち寄ったジャズ喫茶がどこにあるのか分からない。モダンジャズの流行が終わったと同時に潰れてしまったのだろう。

 渋谷駅前はかろうじて方向が分かる。しかし、今後再開発が行われるというから、新宿同様、渋谷も分からなくなってしまうだろう。

 東京には中華料理やフランス料理はもちろん、インド料理とかギリシャ料理とか、果てはネパール料理の店まであるから、探せば世界中どこの料理でも食べられるだろう。地方都市ではそのようなことはありえない。

 なにより東京に象徴的だと私が思うのは、岩石の専門店というのがあって、各種岩石や化石を売っていることだ。このような店は地方では成り立たない。世界各国の料理が食べられて、化石を店頭で売っている店があるような便利な東京である。東京特有のお土産や駅弁がないのは、東京には日本のすべてがあるからである。