院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

防災の日に寄せて

2014-09-02 00:07:44 | 歴史
 私は「戦争を知らない子どもたち」です。父母は「(関東大)震災を知らない子どもたち」です。

 私は先の戦争のことを父母から聞いて知っています。関東大震災のことは祖父母から聞きました。

 俳句では戦争が終わった日を「終戦日」と呼び、秋の季語です。防災の日を俳句では「震災忌」と言います。それらをリアルに体験した人から聞いていますから、私は「終戦日」、「震災忌」という季語で俳句が詠めます。

 でも、私たちの孫の世代は、また聞きでしかそれらを知りません。実際に体験した人からのビビッドな伝達を受けられなかったのです。

 近所に住んでいた仕立て屋(テーラー)の小父さんは、関東大震災のとき山の手に逃げて、下界を見ると火の海だったと、興奮して幼い私に語りました。

 父は着もしないのに、そのテーラーさんから毎年、決まったようにスーツやオーバーを2着買っていました。それが町内の約束事でした。

 そうした約束事が残っていないのに、「終戦日」や「震災忌」だけが大威張りで生き残るはずがありません。防災の日に、理由も分からずに防災訓練をさせられている孫たちにとって、それらは「大化の改新」と同じくらい過去のことでしょう。