院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

甘やかされて育つとロクな人間にならないでしょうか?

2014-09-29 05:29:27 | 教育
  (草思社刊。)

 以前、大女優の息子が女優の邸宅のガレージで大麻パーティーを開いて捕まり、ドラ息子の典型とされました。こうした極端なケースがあるから、表題の「甘やかされて育つとロクな人間にならない」というテーゼが真実味を帯びるのでしょう。

 欲しいものを何でも与えられて育った人間が、私の周囲に何人かいますが、彼らは長じてから人並み以上にマトモな人間になりました。人格も穏やかです。

 また逆に、欲しいものを一切与えられず、本人が苦労して努力を重ねてやっと育った人間には、どこかギラギラとした出世欲や猜疑心があります。どうも人間は苦労すればよいとは限らないようです。

 どちらの育て方が正しいのか結論を求めるには、今のところ統計学的な手法しかありません。まず、「甘やかす」とはどういうことかの定義から始まります。次に「ロクな人間」とはどのようなものなのかを明らかにしなくてはなりません。

 そんなことをしていては物事の本質を逃してしまうという意見があるでしょう。それはその通りです。ですが「甘やかされて育つとロクな人間にならない」と一方的に断言することも、統計学的な手法と同じく、本質を逃しているのです。

(だから上掲のような本は批判的(科学的)な視点で読まないと、情緒的にごまかされる可能性があります。「ひ弱」とか「フワフワ」がどうとでも解釈できる用語だからです。)


※今日、気にとまった短歌

  僕たちの未来のようにのっぺりと裏が白紙の求人チラシ  (碧南市)磯貝達也