(泉屋のクッキーの詰合せ。amazon より引用。)
私が幼いころはクッキーといえば泉屋の缶入りと決まっていました。それは豪華だから自ら買うものではなく、よそ様からいただくものでした。
小学校3年生のころ、どうしてだっだか同級生の女の子の家に遊びに行きました。そこのお母さんがおやつにクッキーを出してくれました。それは泉屋のクッキーではなく、そのお母さんの手作りでした。
クッキーは泉屋で買ってくるものとこころえていた私はドギモを抜かれました。それが泉屋のクッキーと同等においしいのです。いまでは珍しくない「手作りクッキー」ですが、当時の私には「ありえない」ことでした。
寝る部屋と食事をする部屋は別にしようと、政府は「寝食分離」を訴えていました。女の子の家は東京の目黒区にあった2DKの国家公務員宿舎でしたが、いちおう寝食分離がなされていました。私の家はふとんを畳んだ部屋にちゃぶ台を出して食事をしていましたから、寝食分離が達成されていませんでした。
女の子の父親は高級官僚で、やがて一家でイギリスに行ってしまいました。私が行ったことがある一番遠くは熱海でしたから、外国とはどんなところかと思いを馳せました。
私はその女の子に好意を抱いていたわけではありません。ですから、どういう事情で遊びに行ったのか、皆目思い出せないのです。女の子の名前も・・。