院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

美玲ちゃん殺害事件に寄せて--3.11直前の幼女殺害事件の記憶

2014-09-25 00:00:28 | 社会

(長田署のツイートより引用。)

 美玲ちゃん殺害事件は卑劣で痛ましい事件ですが、今日述べることは美玲ちゃん殺害事件そのものではなく、いわゆる3・11の東日本大震災の直前に起きた幼女殺害事件のことです。

 幼い女の子が殺害された点では今回とまったく同じで、連日報道されていたのですが、3・11の大災害によってふっとんでしまった事件です。ふっとんでしまったために覚えておられる方はいないと思われますのでここに記します。

 2011年3月初め、スーパーマーケットのトイレから、母親が目を離したすきに女の子が一人いなくなりました。事件を短く言うと、ある男がリュックサックに女の子を詰め込んで自転車で運び、最終的に下水が川に注ぐ地点で女の子の遺体が発見されたというものです。

 いま流行の防犯カメラに、男がリュックサックをしょって自転車で走っている映像が捉えられており、犯人も逮捕されました。美玲ちゃん殺害事件と同じ許しがたい犯行ですが、3・11以後、パタリと報道がなくなり、いまだに報道されません。

 たぶん犯人は精神鑑定によって心神喪失とされ、責任能力なしとして無罪になったのだと私は推測しています。私はリュックサックを用意するなど計画的な犯行とみていたので、責任能力なしとは考えていませんでした。

 ふつう心神喪失による事件には計画性がありません。(このブログの金山駅老女刺殺事件(2011-03-25)をご参照ください。)

 美玲ちゃん殺害事件の容疑者は知的障害者の手帳をもっていたと報道されました。その点は今回、どのように評価されるでしょうか?

 弁護士は犯人の刑罰を軽くさせるのが仕事ですが、精神鑑定を濫用し過ぎているように感じられます。人殺しは全員アタマがおかしいという見方もできますが、それでは殺人者全員に精神鑑定が必要になってしまいます。

 ここで強調しておきたいのは、多くの弁護士は精神医学を知らなさ過ぎるということです。いや、弁護士だけでなく検事も裁判官も、法曹にはみんな最低限の精神医学を勉強していただきたい。そうしないと、精神科医に軽くあしらわれてしまうでしょう。