院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

消えゆく文語体

2014-09-03 00:26:41 | 日本語
(出版社不詳。)

 明治時代の文学が美しいのは、文語が残っているからです。言文一致とやらで口語体になってからは、文語体特有の美しさが消えてしまいました。これは大きな損失でした。

 谷村新司さんの「昴」がよいのは、歌詞が文語体であることに負うと言えば、文語の美しさを理解していただけるでしょうか?「昴」が口語だったら締まらないでしょう?



 たとえば次の口語俳句は有名ですが、一句だけだから存在価値があるのであって、この手の句を茅舎がたくさん詠んだら面白くもなんともないでしょう。

     約束の寒の土筆を煮てください  川端茅舎

 無定形口語体の碧梧桐が、虚子に敗れてほんとによかったです。口語体が文芸の言葉になるには、あと200年はかかると言ったのは故山本夏彦翁です。