院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

総合診療科

2014-09-09 00:01:55 | 医療

(新しくなった名古屋大学病院。)

 「内科医は何でも知っているが何もできない。外科医は何も知らないが何でもする。精神科医は何も知らないし何もできない」という言葉がむかしからあります。

 40年前の内科医はほんとに何でも知っていました。まだ大学病院でやっと、消化器、循環器、呼吸器、神経、内分泌、血液などに内科が細分化され始めたころ、地方の総合病院の内科医は、それこそ肺炎から白血病まで診ていました。

 一方で、精神科、耳鼻科、皮膚科などは新卒者がすぐにその部門に行ったので、他科のことは何も知りません。当時、カナダの著名な精神科医、林宗義教授が来日して「日本にはプレマチュアプロフェッション(未熟なうちから専門範囲が狭い医者)が多すぎる」と私的な席で話され、その通りだと思ったものです。

 最近、総合診療科という科の必要性が認識され、その科を希望する医学生が多くなっているのは喜ばしいことです。総合診療科とは、何科の病気というのではなく、すべての病気を診断する科です。患者は最初は自分が何科の病気か分かりませんから、そのような診療科はずっと前から必要でした。

 私のクリニックには、身体病だと思われるのにどこの科でも相手にされなかったという患者さんが、たまに見えます。そようなときは名古屋大学病院の総合診療科が快く引き受けてくださって、綿密に調べてくれるので大変助かっています。