Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

二コマ漫画

2008年01月21日 | 家・わたくしごと
 5歳の甥は頻繁に作品をFAXでわが家に送ってくる。数日前にも二コマ漫画が送られてきた。
 一コマ目は、左に「あさ」と書かれているので、明らかに朝の風景である。食卓に座る男はたぶん作者である甥の父親で、彼の顔は明らかに、不満を持ちながら独り言を呟いている。眉がつりあがり、目が鋭く描かれている表情は「怒り」を表現しているのだ。この男性はなんと言って怒っているのだろうか?
 驚きはここに始まるのである。このひらがなを必死に呼んでみると、そこにはなんと「政治」が描かれている。この三つの台詞を続けて右から書くと「ふん、なんだこのしんぶんは。しんテロがきまった。」となる。正確に言うと「ふん!なんだこの新聞は!新テロ法案が(参議院に戻って)可決されたって!」と表現できるのだ。衆議院から参議院へ、そして再び衆議院で可決されたこの「ねじれ国会」の決議への不満である。
 しかし驚くのはまだ早い。夜の部、つまり二コマ目を見てみよう。左側では台詞はなくてもキッチンで母親が料理を作る姿をみてとれるが、重要なのは右側である。男(父親)は、会社から戻り再び新聞を読み始める。新聞と書いていなくても、もっているものが朝も夜も同じに描かれていることからそれが新聞とわかるのである。そしてこの男は、再び怒りの表情でこうつぶやいているのだ。
 「おっ?なんでだよ!」
 ようするに男(父親)は、会社から戻ってもなお怒り続けているのである。これは「何で」という表記がなくても新テロ法案であることくらい簡単に想像がつく。この二コマ目から、主人公として描かれている男の新テロ法案決議に対する不満がただならないことを感じるし、そこには日本の家族の姿、朝に食卓に座って新聞を読み、帰って再び新聞を読む一家の主人の姿もまた描かれる。まさに日本の家族、政治をこの二コマだけで簡潔に描いてしまうのだ。いわゆる時事漫画の原点である。もう一度繰り返すが、これは5歳の子どもの作品である。まさに脱帽・・・。