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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

落語

2008年01月28日 | 東京
 現在、NHKの朝の連続テレビ小説では、上方落語をテーマにした「ちりとてちん」が放映されている。何年か前に民放で放映された「タイガー&ドラゴン」は、現代における落語ブームに火をつけたそうだが、この「ちりとてちん」もそんな流れの中で企画されたものかもしれない。
 私の父は、こんなブームとは無関係に落語好きである。落語のラジオやテレビ番組をよく聞いたり、見たりしていたし、だいたいその内容についてもたいそう詳しかった。そんな影響からか、私もある時期までは落語をよく聞いたし、池袋の寄席にも結構通った。しかし、今は落語に接する時間もない。
 東京の実家に一日泊まったついでに、父とともに父の落語コレクションの中から、「崇徳院」と「井戸の茶碗」をソファに寝転がって聞いた。落語は聴くだけではなく、見る楽しみもあるわけなので聴くだけでは物足りなさもあるのだが、やはり話芸である。徐々にその世界に引き込まれていく。
 それにしても志ん生の「井戸の茶碗」に出てくる正直清兵衛、千代田卜斉(ぼくさい)、高木佐太夫の馬鹿正直ぶりには笑いがとまらない。噺家の語りから、三人の台詞、江戸の街風景、雰囲気、香りなどが、五感すべてに訴えかけてくる。ものすごい芸当である。ワヤンの上演をする私にとって落語はまさに話しの教本である。ワヤンと同様、多くの観客はその結論を知っていて、この話を聴く。つまり、その経過を楽しむのが落語であって、それこそが落語の聞かせどころ、見せどころなのだろう。
 ちなみにこの日、帰りの飛行機で聞いた落語は「ちりとてちん」だった。もちろん、こちらの「毒消しのわさびと梅干を入れて、醤油で味付けした腐った豆腐」のオチもなかなかだった。