Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

夢の中で

2010年04月13日 | 家・わたくしごと
 先週の夢の話。息子と2人で旅行に出かけた。どこに出かけたのか今になってはほとんど記憶がない。ただぼんやりと都会の風景が目の前に続いていたような気がする。丸の内の裏通りのようなそんな場所だったかもしれない。
 夢の中の息子はもう身長が160センチ近い今の年の息子だ。何も言わずにぼくらは歩いている。映像としては車や人とすれ違っているのだが、私と息子の靴音以外は何も聞こえない。不思議な音風景だった。
 ぼくは、そのとき息子と手を繋いだ。それもほんの一瞬だ。そのとき気がついた。もう息子は手なんか繋がなくても、道路側に突然飛び出したり、はみ出したりしないし、迷子にだってなるわけはない。13歳の息子と手を繋いで歩く父親がいったいどこにいるだろう?ぼくは数秒の間にそんなことを考え、すぐに手を放した。息子はそんなことにも気がつかずに、ただ黙って歩いていた。
 当たり前のことかもしれないが、ぼくはこのあと生き続けられれば、いつの日が息子に手を繋がれることになるだろう。ぼくが息子の手を引くのではなく、引かれるときがやってくるかもしれない。それが何十年後のことなのかわからないが、ただ一つ明らかなことは、ぼくはもう息子の手を引くことはないのだ。それは息子が成長した証であり、喜ばしいことなのかもしれない。ぼくは夢の中でそんなことを考えながらも、目に涙があふれた。なんだかとても悲しかったし、空しかった。なんだか人生における一つの時代が終わってしまった気がしたからだ。