Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

1000万ドルの夜景

2010年08月02日 | 
 函館観光お決まりの函館山の夜景の見学に出かけた。「これを見なけりゃ函館観光は終わらねえぜ」といった典型的な夜の観光ルートである。
 展望台に上ると、写真で見たような100万ドルの函館の夜景が広がる。誰が見たって(そりゃあ例外的に何とも思わない人だっているだろうけれど)美しい夜景である。ぼんやりそんな光景を眺めてから、視点を右にずらした。
 そこにはイカ漁の漁火が数多く点在しているではないか。ほとんど誰も関心を払わない海の光が、暗い海にポツリポツリと花咲いている。ぼくはそんな風景をじっと見つけた。そして息子にこう言った。
「函館の夜景は100万ドルの夜景かもしれないけれど、ぼくには、この海に浮かぶ漁火が、1000万ドルの夜景に見えるよ。暗い闇に浮かぶ大きなダイヤモンドの粒のようだもの。」
 息子は静かに笑った。
「美しいものは、あちこちに存在しているものなんだ。ただ皆、美しいと決められたものだけに目がくらんで、それ以外の存在に気づこうとしないだけなんだよ。」