Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

子どもたちのガムラン

2010年08月10日 | 東京
 友人が自分の家の近所の子どもたちに教えてきたガムランが、盆踊りの前に初舞台を踏んだ。私は何の協力もすることもできなかったが、ガムランによる地域貢献は、私が沖縄で取り組むテーマの一つであるし、共感できることもあって、応援団?の一人として見学に出かけた。
 善福寺の近くの町内盆踊り大会で、道路を通行止めにした十字路が舞台である。バリでは簡単だが、日本では警察への届け出などたいへんだっただろう。地域全体が関わっているイベントであることがこうしたことからもわかるものだ。十字路の中心はブタ・カラ(悪霊)の生息地。ちゃんと上演前には供物が捧げられる。
 バリでは小学校低学年の子どもたちがガムランを演奏するのは珍しいことではない。しかし私の経験では、日本の場合、好奇心で一度はできるとしても、それを二度、三度と継続して演奏させるのは難しいと思っていた。子どもたちは忙しい。学校のほかに、塾にも、習い事にも行かなくてはならない。ガムランの優先順位なんて、それほど高いとは思えないのである。
 決して上手な演奏ではない。それでも子どもたちは真剣なまなざしで、演奏をし続けている。私にはそれが、本当に心から演奏を楽しむ姿、演奏の喜びの表現のように感じられるのだ。私は地域貢献という側面に関心しながらも、むしろ「演奏すること」とはいったい何なのか、という初心に戻れたような気がした。ぼくたちはいったいなぜ演奏するのか? なぜガムランを続けるのか? 帰りの電車の中で今一度、自分に問い直す。