Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

トリを飾るのは…

2015年05月10日 | 浜松・静岡
 5月5日、浜松まつり最後の日は快晴で、前日は雨で中止になった御殿屋台の引き回しが行われる。御殿屋台とは、いわゆる山車でその上ではお囃子が演奏される。しかし「御殿屋台引き回し」というと、それだけが行われるように見えるのだが、それは大間違いである。自動的にラッパの練りもついてくるのだ。例年は合同練りが行われたが今年から廃止されたため、ラッパの練りは街中で無秩序の状態でゲリラ的に行われるのである。
 正直、これまでよりこっちの方がずっと面白い。いつ、どこに、何がやってくるのか全くわからないからだ。十字路(四辻)で誰も練っていなければ、そこを占領しその中心で爆発的に盛り上がる。観客もそのまわりに群がって何らかのパフォーマンスを期待しているために、その相乗効果で、練りがより派手になってしまう。「まなざし」は芸能の担い手の意識や芸態まで変えてしまうというが、まさにその通りかもしれない。
 夜9時の少し前、ほとんど地元に戻っていった街中で、最後に残ったグループが練りを始めた。これまでとは比べ物にならないほどの大人数で、よく見ると、「か」の印が法被の背中に染められている「鍛治町」の練りだった。そうか、ここは「鍛治町」なのだ。つまり、彼らはやっと地元で練っている…。
思う存分、練ったののだろう。彼らの威勢のいい太鼓、ラッパそして掛け声が路地に消えて行った。「ここはね、本当は俺たちの場所なんだよ」と、最後に言い残していったような気がした。