社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「保健医療ソーシャルワーク -アドバンスト実践のために-」 編集/公益社団法人 日本医療社会福祉協会、公益社団法人 日本社会福祉士会

2017-09-07 13:39:14 | 社会福祉学
 職能団体による、保健医療領域の動向とそこで活動するソーシャルワーカーの現状、課題がまとめられている本。
おそらく、学部学生にとっては実習前の必須本であるだろうし、現場で悪戦苦闘しているソーシャルワーカーにとっても、原点に立ち返るために役立つ本だと思う。

自身の問題関心から、第6章「地域に展開する保健医療ソーシャルワーク」を中心に紹介。

引用
・保健医療機関も地域における一社会資源として、(中略)地域に期待される地域福祉・地域医療に対して役割を果たすことが求められている。
・近年の保健医療ソーシャルワーク業務は、個別支援に集約するようなケアマネジメント手法でニーズアセスメントおよびその充足のためのサービス・資源調達・供給の調達という実践枠組みで行われていることが多い。(中略)このようにミクロに集約するのは、保健医療機関という組織システムが、従来から境界(バウンダリー)が固く、かつソーシャルワークも診療報酬に関連して制度化されているため、病院経営システム内で閉鎖系システム(クローズド・システム)に組み込まれがちになっているからと思われる。


 地域福祉と地域医療と医療福祉。これを分別して定義することで、各々の専門性が明確になり、各々の課題が分かりやすくなるのか?と思いながら読み進めた。
 保険医療機関を有床医療機関という前提で多くの課題を提起していると予想されるため、在宅療養支援診療所のソーシャルワーク活動の肝?核?を確認するには、少し物足りない印象を受けた。
 診療報酬上で専門性が認められてことで、動きが取りにくくなっている…そんな場面が多くの医療機関で起きている様子に、何事も一長一短であると、問題の奥深さをあらためて感じた。


保健医療ソーシャルワーク: アドバンスト実践のために
クリエーター情報なし
中央法規出版
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「医療福祉連携における相談支援‐連携の中核となる病院の立場から‐」榊原次郎 『保健の科学』第59巻第3号(2017)

2017-06-21 06:04:20 | 社会福祉学
 地域包括ケアシステムを特集している雑誌の中のひとつ。
病院に所属するソーシャルワーカーが、自身が所属する組織のソーシャルワーカーを対象としたアンケート調査を交え、論じている。

引用
・ソーシャルワーカーとしては、フォーマルなステークホルダーだけでなく、地域住民やインフォーマルサービスを含めケアシステムこそ、地域包括であると考え、行政に働きかけているところである。
・病院の中で医療職と協働しながら、患者・家族が安心して治療が受けられ、在宅や社会に復帰する権利を守り、支援していくことがソーシャルワーカーの責務である。
・医療福祉連携の中核となす病院のソーシャルワーカーは、医療SWだけでなく、地域SWの実践も重ね、医学モデルと生活モデルの両方から考えられる視野を身に付けることが、クライエントだけでなく、病院組織、地域社会に貢献できることになるであろう。…引用①


上記引用①について、筆者の組織では、病院以外にも、在宅サービスを実施する事業所を持っているため、SWは異動という形で病院と在宅の事業所の両方を経験できるという。
これはSWのスキルアップとしてもとても魅力的であるが、多くの事業所はなかなか実現が困難であろう。
そこで、在宅のSWと病院のSWがまずは同じ職種として交流を持ち、互いの組織の役割を理解することで、組織間連携の円滑な遂行に有効であることは言うまでもないだろう。
在宅療養支援診療所にもSWは存在する(数は少ないが…)。医師と話しをするよりも、同職種であるSWと話しをするほうがスムーズという病院のSWも多いと聞く。私は在宅療養支援診療所のSWもまた、医療福祉連携の中核にいると思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ソーシャルワークにおける協働とその技法」福山和女 『ソーシャルワーク研究』Vol.34 No.4(2009)

2017-06-19 05:47:50 | 社会福祉学
今はどの領域においても、多職種連携、多機関連携が当たり前となっている。
協働という言葉の捉え方が統一されていないことを指摘し、まずはその定義を整理している。
協働、協働体制、コラボレーション、連携など、同一と考えられている言葉についての説明は、何度か読み込むうちに、「ストン」と理解できる感じがした。

引用
・(対面でのカンファレンスは)その場で各機関の方針を一同に提示して、交渉をし、方針決定や計画をするプロセスを共有すること、それが協働であろう。
・現場では同質を望みながらも、他の職種に教えてもらうことを期待し、他の職種に依存したいと欲する。専門職の自律性が確立されない限り、効果的な協働体制は形成できないだろう。
・ネットワーキングとは、専門家同士および利用者本人と家族との交互作用から産まれる産物である。
・協働体制は、異なる専門職がそれぞれ専門性を活用し、自律性をもった役割や責任遂行が求められる。


 効果的な協働体制を構築するためには、己の組織を理解し、そして己の職種を理解していること。それが始まりである。
職種への理解は、養成課程でも教わるため、そう難しくないのかもしれないが、組織を理解することは意外と難しい、それが私の実感である。
 組織ができること、できないこと。検討の余地があることを、絶対にできないこと。まずは己の組織に所属している職種、各々を理解していないと、組織そのものは理解できない。そう実感する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「認知症高齢者支援におけるソーシャルワーカーの代弁プロセス‐地域包括支援センターの社会福祉士に焦点をあてて‐」

2017-05-29 11:22:47 | 社会福祉学
久松信夫/著 『社会福祉学』第57巻第4号 2017年

 利用者(患者)の代弁者としての機能をソーシャルワーカーが有していることは、周知のことである。
本論文では、その機能がどのような段階を経て形成され、そして継続しているのかをインタビュー調査を通して明らかにしている。

引用
・認知症高齢者の代弁を行う際には“時宜”と“場”の設定が必要だと考えられる。家族介護者への代弁の時宜が早いと、認知症高齢者本人の意思などを受け入れる余裕がなく、逆効果(拒否や不信感)になる恐れがあるため、どのタイミングで代弁を展開するかの見極めが重要な要点となる。

・ソーシャルワーカーが認知症高齢者を代弁する際のプロセスは、大きく三つの段階(代弁前段階、代弁段階、代弁後段階)に区分される。

・認知症はその症状特性と進行性のため、言語的コミュニケーションが次第に成立しにくくなることが多い。そのため、代弁技術を維持・向上していくには、コミュニケーション技術を駆使した“関係性”の保持・向上にソーシャルワーカーは努める必要がある。


 インタビュー調査によってカテゴリー化された言葉は、そのひとつひとつに援助者側の苦悩や工夫が感じられ、認知症高齢者を目の前にした時に、どのように声をかけるべきか、何を把握するべきかを知る手がかりになる。
 認知症高齢者のみならず、自身の訴えを的確に表現できる人は、そう多くない。ひとりひとりの望み、考え、気持ちなどに向き合うには、ソーシャルワーカーが持つ、己の技術や知識を日々向上させていく必要があるのだとあらためて思った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「介護老人保健施設における支援相談員のソーシャルワーク実践力の構築に関する一考察」片山徹(2017)

2017-03-21 10:42:04 | 社会福祉学
『社会福祉士』第24号

 介護老人保健施設に勤務する支援相談員を対象に、インタビュー調査を実施。筆者の先行研究によって明らかにされた実践課題に対して、支援相談員自身がそれらをどのように認識しているのかを確認している。
 インタビュー結果がカテゴリー化、コード化されており、その一語一語を読むだけでも、支援相談員が抱えているジレンマのようなものを知ることができ、読み応えがあった。

引用
・(老健のベットを)地域の社会資源の一つと捉え、【ベットコントロール】という側面が単に利益追求という視点だけでなく、幅広くとらえることができている者もいる。組織運営や組織管理という側面において、それらをソーシャルワークの機能としてとらえることができるかどうかによって、支援相談員の実践は変わってくる。
・経営や施設理念への関わり、多職種との協働による実践の効果ろジレンマなど、組織に対する働きかけが、支援相談員の実践にとって重要な位置を占める。今後、そのようなメゾ領域、マクロな領域におけるソーシャルワークとしての関わりのあり方を具体的に示していく必要がある。


 高齢者福祉施設であるたゆえに、同じ福祉畑のスタッフが多く、職種間での相互理解はスムーズなのでは?と勝手に思っていた。しかし施設サービスの要のような位置にある「介護=直接的なサービス提供」をする立場ではないため、その専門性のあり方に支援相談員の方々は大変苦慮されているようだ。
 ソーシャルワークはどの領域にあっても「明確」であるようで、そうではない。「知られている」ようで、そうでもない。そんな業務/機能であると改めて思わされた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ソーシャルワークとしてのアイデンティティ」小山隆、木原活信、平塚良子、和気純子(2011)

2017-03-06 21:40:00 | 社会福祉学
『ソーシャルワーク学会誌』第22号 2011

 学会企画シンポジウムの報告。3名のシンポジストがソーシャルワークのアイデンティティについて論じている。
 「ソーシャルワーカー」という職名を持つ人以外の活動家がいわゆる社会的弱者を支援することは、ソーシャルワークをしていると言えるのか?などなど、学術的な要素が多く、読み応えのある報告であった。

引用
・専門職との協働が深まるほど、それぞれの職種のアイデンティティの確立が求められるため、ソーシャルワークのアイデンティテイを確認し、そしてそれを承認しあっていくことが重要になります。(和気純子)
・アイデンティティの構築は、多領域にまたがるシステム的なものでありますけれども、同時に歴史的でもあり、そして継続的なプロセスであるとするならば、生涯的なアイデンティティの構築支援というものが必要になります。その支援をするのは学会であったり、職能集団でありますので、関連団体、組織が連携を強化しなければ、継続的な支援は難しいのではないかと考えます。(和気純子)
・(ソーシャルワークの)日本独自のアイデンティティはあると考えています。ですが、理論としては基本的にアメリカ流ソーシャルワーク理論を研究しそれを大学の知として標榜しているように思います。そして実際の大学教育は、これとは異なる厚労省が立てる福祉士資格カリキュラムの中に拘泥しているのが現実です。一方で福祉現場はどうかというと、アメリカ流とも、福祉士教育カリキュラムとも異なる現場実践の経験知に基づき実践しているように思います。この3つが混在しており、まさにそこでもアイデンティティ・クライシスが起きているのです。(木原活信)


 「社会福祉士資格保有者=ソーシャルワーカー」であると、長く疑いもなく思っていたが、最近になり、ではそれ以外の職種が担っている支援活動は何?と考えるようになった。
社会福祉士はソーシャルワークの担い手であるが、それは「一」担い手に過ぎない。地域を舞台に支援活動をしている保健師さんやケアマネさんも、ソーシャルワーク活動の担い手であろう。では社会福祉士は不要なのか?というとそうではない。そうではないと言い切れる材料を、私は今もずっと考えている。
この報告書は、その一助となりつつ、さらに深みに落とされるものでもあり…。まだまだ議論がしきれないものなんだな、ということだけは分かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「医療ソーシャルワーカーの役割のあいまい化からみる専門職性についての検討‐役割理論と組織システム論の観点から‐」大賀有記

2017-02-28 11:24:04 | 社会福祉学
『社会福祉学評論』第14号 2014

 医療機関に所属するソーシャルワーカーの役割は、常にその存在意義が問われている。本論文は文献研究を通して、医療ソーシャルワーカーの専門職性を検討している。
他職種との連携のなかで悶えるソーシャルワーカーにとって、どこが「すっきり」することができる、そんな論文だと感じた。

引用
・より高度な専門性を有したソーシャルワークの担い手として組織や社会から認められ、ソーシャルワーカー自身も自認するための、他職種との違いは何だろうか、それは視点の相違ではないかと考える。
・個人の尊厳を保った生活を社会的に保証するところにソーシャルワークの礎があるといえ、それを担う適任者は歴史的に見てもソーシャルワーカーであるといえるのではないだろうか。
・ソーシャルワーカーの役割の構成要素の中の規範において、個々の人権を守ることなどのミクロ的な要素が強いものの一部は他職種とも共有可能なものであるが、社会変革や社会改良、社会的結束までのマクロレベルの規範は他の対人援助職と異なるといえる。
・病院組織の一構成員であるソーシャルワーカーが社会全体を志向していることは、病院組織の社会貢献にもつながるため、病院組織はミクロからマクロまで循環するジェネラル・ソーシャルワークを専門的に担うソーシャルワーカーの独自の役割を認めることができるのではないだろうか。


 組織間連携や生活相談等について、他職種が担うことでソーシャルワーカーの役割がぼやけてしまう。そして「必要ないのでは?」という思考に陥ってしまう。そういった経験は多くのソーシャルワーカーが一度は経験しているだろうと思う。
 「視点が違う」「相談技術が長けてる」と他職種との違いを述べてみても、それはどこか虚しく、説得力がないと返されてしまうこともあるだろう。
しかし本論文が指摘しているように、ソーシャルワーカーは対個人の援助にとどまらず、組織全体や地域社会、そして社会全体を見据えて個人と向き合うこともある。そこに専門性があり、力量が発揮できるのだろうと改めて考えさせられた
 ソーシャルワーカーは、もっと自信をもっていい。そして自分たちの活動について、もっともっと広く知らせていくことも必要だと思った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ソーシャルワーカーと退院調整看護師間のコンフリクトに関する研究~退院支援担当者へのインタビュー調査から~」佐藤奈津子

2017-01-05 21:04:26 | 社会福祉学
『北星学園大学大学院論集』(2013)

 北海道内の医療機関にある退院支援部門に配置された看護師とソーシャルワーカーを対象に、インタビュー調査を通して、退院支援における2つの職種の実践の相違、コンフリクトの有無について、その要因と構造を明らかにしている。

引用
・(部内で決め事をするときに)看護職は、「患者に関わるものだから他の部署が協力してくれてもいいじゃない」という患者中心の考えを持っているが、対してSWは、患者の利益を尊重しつつも、部門間の業務管理の責任や全体のバランスを考えて発言する。
・「医療ニーズ」の高い患者は「生活ニーズ」も高まるという対象者のニーズの二重性により、一人の患者に対してSWと退院調整看護師が同時に関わるという方法が、退院支援システムにおいて位置づけられる必要があることを明らかにした。
・看護職がSWに期待する「社会資源・制度」や病院・施設に関する情報は、ソーシャルワーク展開に欠かせない知識ではあるが、ソーシャルワークの全てではない。(中略)また、SWも継続看護に理解を深めつつ、「医療ニーズ」の高い事例におけるソーシャルワークの必要性を言語化していく努力が求められるだろう。


 「ソーシャルワークの専門性=社会資源、制度の知識」というくだりは、私自身もソーシャルワーカーになりたての時に、そう勘違いしていた記憶がある。
そして、在宅医療の現場にソーシャルワーカーは必要か否かの議論の際には必ずと言っていいほど、「地域のことに詳しい看護職がいれば、ソーシャルワーカーは要らない」という意見があがる。知識はソーシャルワーカーでなくても、看護職でなくとも、習得することができる。専門性を活かすということは、その知識を要支援者にどのようにマッチングさせるのか。そして不足があった場合に、どのように公に働きかけていくのか、であると今は思う。
もちろん、「ソーシャルワーカーの専門性は社会資源、制度の知識を有する」だけではない。何を持っているのかではなく、どのように患者さん、家族をとらえ、組織をとらえ、社会をとらえるのかであると、本論文を通して、しみじみと考えさせられた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『「制度の狭間」を支援するシステムとコミュニティソーシャルワーカーの機能-西東京市における実践の分析を通して-」熊田博喜

2016-12-14 22:19:02 | 社会福祉学
『ソーシャルワーク研究』Vol.41 No.1 2015

「制度の狭間」を支援するシステムと、その中で中心的な役割を果たしているコミュニティソーシャルワーカーの機能について、西東京市での取り組みを取り上げ、分析をしている。

引用
・「制度の狭間」とは、複合的な不利を抱えているがゆえに、制度や空間、家族・地域・職域等のさまざまな「つながり」から排除された人々の抱えるニーズの総称と規定することができる。
・地域福祉コーディネーターが受けた相談内容について、実績集計をみると、①地域活動への参加といった活動の接点を求めるもの、②当事者本人から現状の生活改善に関わるもの、③近隣トラブルや近隣住民への配慮・心配に関わるもの、といった3つの傾向をみて取ることができる。
・地域福祉コーディネーターの活動状況について、アセスメントは非常に重要な要素として挙げられている。


 「制度の狭間」と聞いて、近隣トラブルへの支援が中心と思っていたが、個人対個人への働きかけだけではなく、地域が抱える課題に焦点をあてながら、その構成員としての個人にアプローチをしているのだと読み取った。
 地域包括ケアに関する論文が、再び増えているように感じる。時代によって変わりゆく地域に合う支援のあり方を、再び模索している証なのだと思った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「高齢者デイサービスにおける相談援助業務の特徴-既存臨床情報の質的分析を通して-」口村淳(2013)

2016-12-12 10:40:35 | 社会福祉学
『ソーシャルワーク研究』Vol.39 No.3

デイサービスにおける生活相談員の業務の特徴について、臨床情報を分析、整理し、検討をしている。

引用
・(本事例において分析対象とした)臨床情報一覧…①ケース記録②業務日誌③申し送りノート④フェースシート⑤通所介護計画⑥個別機能訓練計画⑦月例会議議事録
・デイサービスにおける生活相談員業務の特徴として、①利用者に関する情報の「中継役」になっている点、②在宅と施設の「橋渡し役」を担っている点、③安心・安全に過ごせる環境作りに関与している点、を見出すことができた。


 現場でうやむやになっている事柄について、その事柄を整理し、みんなに知ってもらいたいという姿勢で研究をされているんだろうな、と個人的に勝手な解釈をしている。この「現場第一」視点が個人的には好きで、この論文も一気に読みきった。
 介護職との兼任が多いとされるデイサービスの現場では、生活相談員は「新規依頼の窓口」「問い合わせの窓口」という業務に手一杯で、それのみが業務だと認識されがちであろう。しかしもう一歩踏む込んで考えていくと、それは施設と本人や家族、施設と在宅の大切なパイプ役であり、そのことによって、ニーズに合ったケアの維持、さらに向上がはかられることもある。
 認識されにくい立場にある相談援助職は他の領域にもあるだろう。頭の整理、気持ちの整理に一役買いそうな論文だと思った。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする