社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「病院・施設が求める保証人に関する一考察」 林祐介(2011)

2012-01-16 15:02:50 | 社会福祉学
副題:保証人問題の解決に向けた医療ソーシャルワーカーの役割に焦点をあてて
『医療と福祉』No.90 Vol.45-No.1

社協職員に対するヒヤリング調査を通して、保証人不在の利用者(住民)への対応策を検討している。
修士論文をベースにしているせいか、先行研究も非常によくまとめられ、実践的かつアカデミックな論文であるという印象を受けた。

引用
・本来は転院が望ましい状態にも関わらず、保証人不在のために、やむを得ず自宅退院するケースも発生しているようである。
(ヒヤリング調査結果より)
①医的侵略行為の同意に関しては、(調査対象者は)本人確認以外に方法はないと回答している。
②入院・入所費用の未収金について、(調査対象者は)既存の事業者制度の活用によって、未収金の予防が可能であると回答している。
③葬儀や遺留金品処理、埋葬といった死後対応については、(調査対象者は)執行者がいなければ、社協が対応せざるを得ないと考えている。


転院対象であっても、保証人がいないがために自宅退院とする…こういった現象が「医療難民」を生み出している一つの要因であろう。
病院や施設は入り口があるために「NO」と言える。しかし、すでに自宅にいる要医療保護者/要介護者に対して、在宅福祉サービス事業者や在宅医療提供事業者は、「No」とは言い難い。事業者の理念だけで支えていくことには、限界がある。地域で、そして社会でどのように支えていくのか。このような保証人問題をどのように扱っていくのか、非常に考えさせられた。







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