社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅における死後の処置に関する調査ー訪問看護ステーションを対象にしてー」滝下幸栄、岩脇陽子等

2012-10-01 11:22:37 | 看護学
『京府医大医短紀要,9』1999

 訪問看護ステーションを対象に、死後の処置の方法、家族への声かけ、今後の課題等を調査している。
14年前の論文であるため、現状とはことなる現象もあるが、死後の処置を巡る歴史的プロセスをしるためには大変役に立つ。

引用
・(病院死が一般的になり)死は次第に家族から遠のき、湯灌のもっていた社会的、文化的な意味が看護者に十分理解されないまま、死後の「処置}として看護業務に組み込まれ、家族が手出しできにくいものとしてとらえられるようになっていった。

・調査結果より⇒「自宅での死後の処置はどうすればよいか」について、「葬儀社に委ねたほうがよい」という意見が2番めに多かった。その理由は、訪問看護ではコストがかかる、葬儀社のほうが上手、入浴までしてくれる、夜間も対応してくれる…など。

・調査結果より⇒「死後の処置は単なる処置の一つ、医療側の援助は死亡前のケアに絞るべき、訪問看護で必ずしもしなくて良い」という意見もあった。

・死後の処置は物理的なリアリティと別れの手続きを確認する場であると位置づけるならば、家族に死後の処置の主導権を返していくことも今後は必要なのではないかと考える。



今でこそ、家族と一緒に着替えをさせる、清拭をするということは死後のケアとして浸透しているが、過去には看護師サイドでも疑問視している声があった…ということに驚いた。
グリーフケアの側面としての死後の処置。それはここ数年で急速に広まった認識なのかもしれない。先駆者たちの取り組みを整理することで、その必要性と普及の鍵を見いだせるだろうと思った。
コメント
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