日本福祉大学社会開発研究所『日本福祉大学研究紀要-現代と文化』第131号 2015年3月
哲学における「承認論」の視点から、故人との絆の維持、その質について捉えている。遺族ケアにおける課題についても、それらの論点から整理している。
引用
・現代における承認論は、(中略)さまざまな承認論が存在するが、要するに、自己の成り立ちにとっては他者が、他者の成り立ちにとっては自己が決定的に重要だということであって、そのことの認識や自覚が、個々人の人間的成長やアイデンティティにとって極めて重要であるとする考え方である。
・他者から承認されることの困難な悲嘆について、具体的に考察していく必要があるだろう。悲嘆経験の相互的な承認ができないということは、死を含んだ文化の形成にとって大きな手かせ・足かせになるからである。遺族の感情や経験を遺族や彼/彼女をとりまく人々が相互に尊重し共有(相互承認)することと、そのための場を作ることが必要である。
哲学的なアプローチであるため、門外者にとっては難解であった。しかし「承認が人にとっていかに大切な要素であるか」ということは、なんとなくであるが理解することができた。
悲嘆経験を相互に尊重し共有(相互承認)するためにそのための場を作ることは必要、という指摘はもっともであるし、自助グループや遺族会が存在する意義の裏付けになると思った。
しかし一方で、相互承認できないと感じてしまった遺族の受け皿は何か?ということが気になった。そこを掘り下げていくことは、遺族ケアの多様性を検討していく糸口にもなりうるだろう。自分にとっての今後の課題である。
哲学における「承認論」の視点から、故人との絆の維持、その質について捉えている。遺族ケアにおける課題についても、それらの論点から整理している。
引用
・現代における承認論は、(中略)さまざまな承認論が存在するが、要するに、自己の成り立ちにとっては他者が、他者の成り立ちにとっては自己が決定的に重要だということであって、そのことの認識や自覚が、個々人の人間的成長やアイデンティティにとって極めて重要であるとする考え方である。
・他者から承認されることの困難な悲嘆について、具体的に考察していく必要があるだろう。悲嘆経験の相互的な承認ができないということは、死を含んだ文化の形成にとって大きな手かせ・足かせになるからである。遺族の感情や経験を遺族や彼/彼女をとりまく人々が相互に尊重し共有(相互承認)することと、そのための場を作ることが必要である。
哲学的なアプローチであるため、門外者にとっては難解であった。しかし「承認が人にとっていかに大切な要素であるか」ということは、なんとなくであるが理解することができた。
悲嘆経験を相互に尊重し共有(相互承認)するためにそのための場を作ることは必要、という指摘はもっともであるし、自助グループや遺族会が存在する意義の裏付けになると思った。
しかし一方で、相互承認できないと感じてしまった遺族の受け皿は何か?ということが気になった。そこを掘り下げていくことは、遺族ケアの多様性を検討していく糸口にもなりうるだろう。自分にとっての今後の課題である。