『千葉大学教育学部研究紀要』第70巻
小学生のための課題図書を対象に、それらから与えられうる障害者のイメージを検討し、読書による障害者理解の可能性について提示している。
引用
・受容的態度とは、相手を否定も肯定もせずにありのまま受け容れることであるが、これが行為や支援と同視されてしまうということは、「ありのままを受け容れること」もいわば「やってあげる」という意識から生まれることにつながりかねない。
・小学校の学級図書や図書室に障害がテーマの図書を配置する場合、以下の事項に注意する必要があると考えられる。
①現代の障害者観に合っている
②児童の読書能力に適している
③心理描写が極端でなく現実に即している
④古い図書の場合、児童が時代背景を理解している
⑤同じ障害をテーマにした図書が身近に複数配置されている
パラリンピックがやドラマなどを通して、「障害がある人」「病気を抱えて生きている人」の存在が、以前よりも目に見える存在として登場しているように感じる。
どんな素材であっても、子どもに渡しっぱなしであっては意味がなく、その素材を通して、どう感じ、どう考え、どう向き合いたいかなどを、じっくりと話すことが必要であろう。
その素材づくり、素材選びの責任は大人にあるのだと、責任を感じさせられる論文であった。