『社会福祉学評論』第22号 2021
保育所が備えるソーシャルワークの連携機能の活用の実態と課題について、インタビュー調査を通じて明らかにし、考察を深めている。
参考文献、引用文献ともに、古いものを扱っていることは気になるが、保育の質を問われている昨今、保育所を多面的に理解することに大変役に立つ。
引用
・乳幼児とその家族に日々向き合う保育所においては、子どもを守り、家庭で生じる様々な課題の解決を図るためのソーシャルワーク実践がよりいっそう不可欠になってきている。
・(インタビュー調査回答より)「保育所だけで見守るつもりはないし、抱えきれる問題ではない。親子が卒園するまでに、卒園した後も見守ってくれる場所とかルートを作りたい」
・保護者との距離が近い存在であるからこそ生じる困難さもあるという『保育所の限界の認知』を踏まえた<適切な役割分担>が求められている。
保育所に通う子供たちは、一日のうちの半分近くを園で過ごす。中には、起きてすぐに園に行き、寝る直前まで園で過ごす子供もいる。子供にとっての居場所である保育所で、痛ましい事故や事件が続いている。保育士は多忙であるが、薄給である。それが現実である。そして求められることも多く、学びきれないくらいに深い専門領域であると感じている。
保育所の機能が適切に運営されるためには、保育所単体ではなく、関係機関や地域の支えも重要である。保育所・保育士を支えていくことは、地域が子供たちの健やかなる成長を支えることに直結する。
そんなことを考えさせられる論文であった。